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2012年07月07日

『劇場法』あれこれ(三)

冠省
5日夜、杉並公会堂で、ピアノのファジル・サイを久しぶりに聴きました。
アンコールでの小品の方が印象に残るということは、よくあることですが、本人作曲の小品でもあり、メインのムソルグスキー「展覧会の絵」より面白く聴きました。
新装になってから初めて杉並公会堂に行きました。
キャパシティに比べて、建物二階にある大ホールのエントランスが非常に狭く、また導線も頗る悪く、終演時には、その狭いエントランスでサイン会も始まって、外に出るのも一苦労、ターミナル駅のラッシュ時のホームや満員電車の車内を思わせるほどで、階段での将棋倒しの恐れも感じるほどでした。
本番中から客席は集中が薄く、ものを落したり、飴を取り出す音が度々聞こえるなど悪い状態でしたが、カーテンコールでは、ヒューヒューと口笛を鳴らし、平然とカメラ撮影する数人の集団が出現、それを見て誘発されたのか、他の客席からもフラッシュが焚かれるなど、無法地帯の如き様でした。
貸し館では凄まじいものもやっていますが、主催公演では良質なクラシック音楽に触れることが出来るサントリーホールでも、飴は言うまでもないこと、演奏中でもペットボトルを開けて飲む、パンフレットを煩く開く、入口で渡されたチラシを見るなど、最低限のマナーすら持ち合わせていない観客が多く出現してきました。電車内で飲食したり、化粧をしたりする者たちの親たちなのでしょうか。自分の席なら何をしても良いのでしょう。アッパレなものです。
ホール入口のもぎりで主催者側スタッフ、ホールの観客案内係が客の手荷物に注意を払うという当然の作業が出来ていないので、演奏中に手荷物のビニール袋や紙袋を動かし、或いはカサカサとレインコートの音を立てる者たちも多くなってきました。開演中の幾つかのドア内側に観客案内係が座っていますが、問題のある観客に注意を向けるということもありません。
サントリーホールは、音楽ホールばかりか商業施設の案内サービスの委託事業に積極的なサントリーの子会社が観客案内業務を引き受けているそうですが、本拠地のホールで責務である良質な音楽鑑賞の環境作りを満足に果たせないようなら、いずれサントリーホールも、地方行政の作ったハコ物、首長や幹部職員の天下り先として出来した公共立ホール並みの低級音楽ホールになることでしょう。
時には郊外まででも出掛け、生の音楽を、ホールでの雰囲気をも楽しもうと何十年か過ごしてきましたが、もうそんなことに時間も、お金も掛ける意味、価値がなくなりそうです。
相変わらず懲りもせず、税の再配分、税によるバラマキで文化振興施策を進めるアッパレな文科省官僚と文教族議員、そのバラマキの補助金・助成金でしか生きることのできない中毒患者の如き芸術文化関係者にはうんざりしますが、この先、劇場法を根拠に更なるバラマキ施策が強化され、こういうホールに対しても、年間で億単位の国税が投入されることにもなりかねません。
杉並公会堂は、京王電鉄のビル設備関係の関連会社が指定管理を受けていることを先ほど知り、ラッシュ時のターミナル駅の連想は、さほど可笑しなことではなかったと思いました。

蒸し暑くなりました。
暑苦しい話で失礼しました。お体おいといください。
取り急ぎ…。