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2017年07月 アーカイブ

2017年07月04日

推奨の本《GOLDONI/劇場総合研究所 2017年7月》

樋口 覚著 『日本人の帽子』 講談社 2000年刊

帽子は明治維新以降の日本人にとって、複雑な近代の象徴と化した。明治以前には、漱石がしばしば俳句に詠んだような頭巾はあったが、洋帽はありえなかった。また、 帽子をかぶる必要もなかった。そこに生じた葛藤は、その後の中国、朝鮮、トルコなどにおいて、開化政策によってもたらされた近代に対する抵抗と受容の劇と同質のものであった。
ロンドンでフロックコートや燕尾服に、絹帽(シルクハット)や山高帽(ボーラー)をかぶった男や、派手な花飾りをつけた帽子をかぶった女を見たことのある漱石は、帽子というものに極めて意識的である。実際、漱石は自分も同じような洋服を作らせ、シルクハットにステッキをもってロンドンを歩き、 ロンドン人から侮蔑されたことを、『倫敦消息』の中で書いている。
漱石は吉田健一が言うように、ただ下宿にこもって読書し、ロンドンで兎のように裸にされて神経衰弱にかかっていたわけではない。劇場によく出入りし、十九世紀ヴィクトリア朝絶頂期の社会と風俗をのちの「無名の猫」のように子細に観察していた。 ( 「Ⅶ 漱石の帽子」より)

今回は倫敦塔にも行かず、ロンドンの街中をひたすら歩き、漱石がひやかしたチアリング・クロスの古本屋や書店に行って、帽子とカーライル関係のよい書物を買い求めることができた。二週間の旅であったが、所期の目的はほぼ果たしたといえるかもしれない。
行くと否とは大違い。ウェーバー作ミュージカル『オペラ座の怪人』を見たハー・マジェスティーは、あとで調べたら漱石が観劇した劇場だった。現在のロンドンっ子がほとんど帽子をかぶらなくなったのに、この劇中に大勢登場する人物だけは皆色とりどりの帽子をかぶっており、舞台はまさに帽子の氾濫で、ゆくりなく十九世紀の世態風俗を知ることができた。
( 「Ⅷ 山高帽の誕生とパナマ帽」より)

2017年07月09日

劇場へ美術館へ《GOLDONI/劇場総合研究所 2017年7月》

[演劇]
*7月9日(日)まで。 東池袋・あうるすぽっと
新劇交流プロジェクト
『その人を知らず』
作:三好 十郎 演出:鵜山 仁
出演:大滝寛 今村俊一 若松泰弘 名取幸政 山本龍二 大家仁志 ほか

*7月10日(月)まで。 新宿・紀伊國屋ホール
文学座公演
『中橋公館』
作:真船 豊 演出:上村 聡史
出演:石田 圭祐 浅野 雅博 倉野 章子 名越 志保 ほか

*7月28日(金)から8月6日(日)ま 代々木八幡・青年座劇場
劇団青年座公演
『旗を高く掲げよ』
作:古川 健 演出:黒岩 亮
出演:山野 史人 石母田 史朗 松熊 つる松 他

[歌舞伎]
*7月24日(月)まで。 半蔵門・国立劇場
歌舞伎鑑賞教室
『鬼一法眼三略巻 一條大蔵譚』
檜垣茶屋の場 大蔵館奥殿の場
出演:菊之助 彦三郎 亀蔵 梅枝 右近 ほか

[音楽]
*7月4日(火) 江戸川橋・トッパンホール
『ハーゲン・クァルテット』
シューベルト&ショスタコーヴィチ ツィクルス
演奏曲目
◉ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第14番 嬰へ長調 Op.142
◉シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810《死と乙女》

[演芸]
*7月25日(火) 六本木・麻布区民センター
『柳家三三独演会』