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財団法人地域創造について アーカイブ

2010年10月20日

財団法人地域創造について(六)

「焼け太り」既得権益拡大を狙う中央官庁所管の財団法人

 2010年7月23日(金)の朝日新聞夕刊一面トップは、≪「無報酬」会長に年1300万円 経産省所管財団法人 謝礼金名目で≫の記事である。財団法人石油開発情報センターが、非常勤の会長については無報酬として公表しながら、実際には「謝金」として年間1300万を支払っていたというもの。記事には、<同センターは、財団法人の根本規則で、会長を含む非常勤の理事10人は無報酬と決め、ホームページなどで公表している。会長の職務はセンターの総理や外国の要人への対応などで週3日。複数の関係者によると、センターの会長に月々100万円余、年間約1300万円を支払い役員報酬ではない謝金として計上していた。理由について関係者は「20人規模の組織で有給の常勤理事長もいるのに、天下り官僚にまで報酬を出していることがわかれば批判を受けると考えたのではないか」と話している。><千葉大法経学部の新藤宗幸教授(行政学)は、「謝金にしては多額過ぎ、裏報酬に等しい。公金を回して天下り官僚を生活させるシステムは根底から見直すべきで、監督官庁の責任も重い。他の公益法人でも同様の仕組みがないか政府は調査すべきだ」と指摘した。>とある。
 この報道を受けて、経済産業省はどう動いたのか。
 同じ朝日新聞は7月27日に次のように報じる。
 <経産省は所管の公益法人で同様の事例がないか、早急に実態調査することを決め、その上で関係団体処分などを決める。><会見した近藤洋介政務官は「年1300万円の謝金は非常識。他の状況を調べて、どういう対応を取るか考えたい。」と述べた。同省によると、所管の公益法人は738ある。>。
 続報は8月6日の朝刊にある。
 <蓮舫・行政刷新相は5日、国所管の約3千の公益法人を対象に、隠れた役員報酬の支出がないか調査するよう指示したことをあきらかにした。調査対象は国家公務員出身者が常勤役職員にいる国か独立行政法人から計1千万円以上の支出を受けている、などの基準に該当する約3千法人。(蓮舫・行政刷新相は)「このような支出は、国家公務員出身の天下り、渡りの方への報酬を意図的に隠しているのではないかという国民の不信を招いている」と述べた。>

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構から、委託費・補助金の名目で収入の9割、7億円を得ているこの石油開発情報センターは、その後どうなったか。
 同センターのホームページにある「役員報酬規程」を見ると、この報道や、その後の経済産業省、内閣府などの調査を受け、会長についての報酬規定を改定している。その付則によれば、「22年9月10日に施行」とあり、その適用は遡って22年8月1日となっている。また、役員報酬額(月額)を明示していて、
  会長   925,100円
 理事長 1,370,200円  とある。
年額に直せば、会長は11,101,200円、理事長は16,442,400円である。
 「役員報酬規程」には、賞与についての規定がなく、また、収支予算書の支出欄中の管理費の項目には、職員給与、職員賞与、役員給与、役員賞与などと項目がなく、総額を人件費として表記しているので、賞与の有無、ある場合の金額は不明である。
 「役員退職手当支給規程」も9月10日に改正し、会長に対する支給も明文化した。
 謝金支給で無報酬のように誤魔化してきた財団、経産省所管部署に対する「処分」はあったのか。
 結果としては、財団を総理する立場の会長・榎元宏明氏(元・関東通商産業局長)に対する引責処分もなく、あろうことか、「規程」を改正させ、天下りを容認した。中央官庁の得意な「焼け太り」で事は収まったようだ。結果としては朝日などの報道が、国に寄生するだけの財団と、そこから闇給与を得ていた天下り官僚とを延命させることに協力してしまった。今のところ、肝心の朝日新聞の続報は、ない。
 「国民の生活が第一」「元気な日本を復活させる」、「天下りの温存となっている各種法人の廃止を含めた改革に取り組」むとマニフェストに掲げる民主党だが、実際には「公金を回して天下り官僚を生活させるシステム」を温存させ、「官僚の生活が第一」、「元気な官僚を復活させる」という官依存の方向に転換したのだろう。
 なんともあっぱれな「政治主導」の事例の一つではある。

2010年07月09日

財団法人地域創造について(五)

 役人OBと利害関係者ばかりの財団理事

  一般論だが、各省庁の外郭団体のホームページは、その組織活動の意義を強調するわりには、組織の実態を隠蔽、否、慎ましく言葉少なに語ろうとする傾向があるが、この地域創造もその例外ではない。
 「設立の経緯と歩み」の項には、<1994(平成6)年7月 「地域文化の振興に関する調査研究会」(委員長:木村尚三郎東京大学名誉教授)が「地域における芸術文化振興のための施策のあり方-美しく心豊かなふるさとづくりをめざして-」を提言>とあり、それを受けて、<9月 知事会、市長会、町村会、関係団体等による発起人会が寄附行為、基本財産等を決定 財団法人地域創造設立>とある。調査研究会の提言から僅か2ヶ月で財団を設立、この年の7月に退任したばかりの自治事務次官を理事長に据えたところなど、見事な手捌きである。
 天下りの公益法人トップが、自らの団体を「民間の法人」と言うことをたびたび耳にする。基本財産が自治体(行政)から出捐され、或いは官から民が出捐を依頼され、その運営が官僚OBの手に委ねられている法人を「民間」だと言い張るのは、「日本郵政」の社長人事で、「退官後14年間は民間で勤務してきたから、天下り、渡りにはあたらない」と発言、「天下り排除から天下り擁護」に豹変し顰蹙を買った御仁にも劣る振舞いである。
 
 「関係者名簿」によれば、7月1日現在の財団役員は以下の通りである。
 会長     森 繁一  
 理事長    林 省吾    (元総務事務次官)
 常務理事   下河内 司   (元総務省消防庁消防大学校長)
 理事(非常勤) 麻生 渡    全国知事会会長
 理事(非常勤) 上原 恵美  (財)びわ湖ホール理事
 理事(非常勤) 酒井 忠康  世田谷美術館館長/美術館連絡協議会理事長
 理事(非常勤) 高島 進   ((財)地方債協会理事長、(元自治省大臣官房審議官))
 理事(非常勤) 永井 多惠子 文化ジャーナリスト/前NHK副会長
 理事(非常勤) 仲道 郁代   ピアニスト
 理事(非常勤) 長谷川 明   全国自治宝くじ事務協議会事務局長
 理事(非常勤) 平田 オリザ 劇作家/演出家、劇団「青年団」主宰
 理事(非常勤) 森 民夫   全国市長会会長
 監事(非常勤) 岩波 忠夫  (元自治省大臣官房審議官)
 監事(非常勤) 浦山 紘一   (財)地方債協会常務理事(元自治省行政局公務員部給与課長)
 
 財団であれば、評議員名を公表することが一般的なようだが、どういう事情かは判らないが明らかにしていない。
 会長の森繁一氏の欄には、現在の肩書、前職名は記されていない。名簿の上から3人までが役人出身であることを感じさせない配慮からだろうか。森氏は初代理事長であり、「元当財団理事長」とでも表記するのが役所の大先輩でもある森氏に対しての礼儀のようにも思うのだが、森氏は、自身が会長を務める団体のホームページで、前職が不明にされる扱いを受けていることは承知しているのだろうか。
 森氏は元自治事務次官、財団法人自治体国際化協会理事長、財団法人地域創造理事長、地方公務員共済組合連合会理事長などを歴任した、典型的な渡りの天下りである。また、理事ではない会長である。(同様に、財団法人新国立劇場運営財団も、理事ではない会長ポストを作っている。組織図上のトップでありながら、理事ではないためにその運営責任を免れている、不思議な存在である。)ちなみに、当ブログの「新国立劇場の開館十年」を考える(十八)≪巨額な国費が投入されながら、理事長・芸術監督が専念しない不思議な劇場(五)≫<公務員改革に慎重な福田首相も、「適材適所でも天下りは二回まで」>で触れたことだが、当時の福田首相が、「4回の天下りはダメ」と発言したが、それはこの森氏のことではなく、その前任の事務次官のことをさしてである。
 理事長の林省吾氏は、06年7月に総務事務次官を退官し、直後の9月に現職に就いた。5月の事業仕分けでは、この林理事長と、下河内常務理事の2人の報酬が合計で4千万円を超えていることが明かされた。非常勤の会長、常勤の理事長(常勤)、常務理事(常勤)の3名と、非常勤理事2名、非常勤監事2名の7名が総務(旧自治)省OB。自治体首長が2名、残りの5名の非常勤理事には上記のように、財団法人びわ湖ホール前理事長の上原恵美、せたがや文化財団副理事長の永井多惠子、キラリ☆ふじみ元芸術監督の平田オリザの3氏と、美術評論家の酒井忠康氏、ピアニストの仲道郁代氏である。
 非常勤理事は無報酬のようである。理事会や主催行事の出席には、日当、車代などが支給されるだろうが、持ち出し、或いはそれに近いお勤めである。
 公共ホールがその設立主体である国、自治体独自の財源で運営できず、文化庁(国税)の補助金ばかりか、この宝くじの寺銭から生み出される地域創造の助成金にまで有り付こうと必死になるご時世に、上原恵美、永井多惠子、平田オリザの3名はせがまれてか自ら進んでか、「利害関係」を懸念されるポストに就いたわけだが、これには一般常識では推し量れない判断があったのだろう。この財団の活動の中心である助成事業、自主事業に理事として関わる以上は、最低の倫理としても、自身が所属、関係するホール等への助成などはすべて辞退しているはずである。上原氏は元滋賀県幹部職員、現在は私大教授として学生を導く、永井氏はNHK副会長の前にもその後にもせたがや文化財団に関わり、平田氏は国の文化政策まで主導する内閣官房参与を務める、それぞれ立派なお立場でもある。それくらいの弁えはお持ちだろう。
 財団説立時から今年度までの「採択助成事業の一覧」を、彼らの関わるホールへの助成など出てこないだろうと思いながら見た。
 私の読みは、大きく外れた。
 

2010年06月30日

財団法人地域創造について(四)

 不見識極まる政府関係機関の人事について

 民主党が掲げる「政治主導」は、本来は政治の領分ではないことにまで彼らがはしゃぎ、出しゃばることの意であったことは随分と知られるところとなった。政府関係機関、審議会などの人事にもそれが見受けられる。政権党の意向を汲んだ各省官僚がお手盛りを含めた政策運営、人事選考をしていたことへの批判が民主党政権、取り分け政務三役にあるのであれば、政策の必要性を充分に明らかにして、より透明度を高めることに注力すべきだ。しかし、政権という玩具を手にしたあっぱれ達の振る舞い、その政治・行政運営は相変わらず拙い。自身の放漫経営でサッカー運営会社を9億円超の債務超過にさせ、首になったばかりの元自治省官僚を観光庁長官に起用、選りにも選って数年前に国税庁に脱税を摘発された漫画家をNHKの経営委員に任命、首相国会演説の振付から、国土交通省の成長戦略、文部科学省の文化政策にまで関わる非常勤の内閣官房参与のシンパたちに施策推進の委員を委嘱等々、これらの人事を進めた政務三役、とりわけ副大臣級の元官僚たちのはしゃぎぶりは尋常でないが、その政治センスの悪さ、人脈の薄さ、不見識さも際立っている。公的資金を注入して経営再建中の企業の創業者を、会社更生法を適用された国策企業の会長に選任するというブラック・ユーモアには驚かされたが、このたびの中国大使人事にも愕然とした。
 伊藤忠商事元社長で現在は相談役である丹羽宇一郎氏が中国大使に決まったことについては、定期購読している『FACTA』7月号に興味深い記事が出ている。≪仰天大使人事 丹羽「中国大使」を待つ内外ハシゴ外し≫。その記事の冒頭には、<民主党が専ら国民向けに「政治主導」を印象づけるのが狙いだ。ところが、「外交のプロ」が権謀術数の限りを尽くすことを誇りとする中国にとって、尖閣や海底ガス田権益から、軍事問題まで懸案を抱える日本が大使に素人を起用したことは、かえって「軽視された」という印象になる。菅新政権は発足早々に、「日米関係重視」を打ち出したが、初っ端から対中関係で大チョンボとなりそう>だとし、鳩山政権末期にようやく固まったこの人事に財界主流も冷淡であったことにも触れ、<「外務省にとっても、外交はおろか中国政治や軍事も素人の新大使はお荷物だろう。通訳なしでは中国語の会話ができない大使では、相手の私語が分からず舐められて政治も経済も「裸の王様」になる懸念があ>り、<中国がどうあしらうかは想像がつく。露骨な「丹羽パッシング」である。新大使は「旅行代理店の現地ガイド」の屈辱を味わうだけだ。丹羽さん、悪いことは言わない。晩節を汚したくないなら、この「民主党のぶら下げた」アンパンは食うべきではない。>と結んでいる。
 今後、丹羽氏が伊藤忠商事との関わりを絶つことで、その公平性、中立性を保とうとするであろうことは容易に想像でき、伊藤忠の中国ビジネス拡大に協力することはないとも思うが、『FACTA』も指摘するように、<三菱商事、三井物産などライバル商社は「大事な中国ビジネスで、もう大使館に相談に行けない」>、情報が<伊藤忠にツツ抜けになる>など危惧するだろうことも当然で、また、<日系企業の動静が全く大使の耳に入らず、使命である経済外交が空洞化する恐れは強>く、経済活動が委縮することにも繋がりそうである。
 ある組織、業界などと利害関係のある者が公的組織に入ることには、慎重であるべきだ。「利権」「利益誘導」の生じる恐れだけではない。本人の自制、業界の警戒心が災いして、却ってその組織、或いは業界などの活動を委縮、或いは変質させてしまうことがあるからだ。
 例えば、文化振興を図る目的で作られた公的組織に、利害関係のある者を加えればどうなるか。次回からは、その実例として、事業仕分けで配布された資料などをもとに、財団法人地域創造の役員構成、事業について調べることにする。

2010年06月21日

財団法人地域創造について(三)

野球賭博と宝くじ

  財団法人日本相撲協会の野球賭博問題について、6月17日付けの朝日新聞社説は≪角界の賭博汚染―公益法人を返上せよ≫と主張、<もし角界を立ち直らせようとするのであれば、公益法人の資格を返上した上で、理事長は組織運営にたけた人物を外部から招き、外部理事の割合も過半数にする。外からの目が届きにくい「部屋」を中心にした独特の角界構造も徹底的に見直す。それくらいの改革をせねば、同じ過ちを重ねるだけだ。川端達夫文部科学相は相撲界が「再スタートの瀬戸際」だと述べた。この認識は甘い。とうに土俵から落ちている。協会を一度解体するくらいの荒療治をしなければ再生は無理だ。>としている。
 また、翌18日付けの産経新聞「主張」は、≪野球賭博汚染拡大 場所返上でウミ出し切れ≫とし、<名古屋場所開催を返上して暴力団との関係を断絶する必要がある。>とし、仙谷由人官房長官は「協会に果たしてマネジメント能力があるのか」と非難、文科省に強い指導を要請した結果が今回の第三者委員会設置である。理事長以下、全関係者が身をなげうつ覚悟で汚染の一掃に取り組まねばならない。>と名古屋場所の開催返上を主張した。
 参議院選挙向けパフォーマンスだとの批判を受けた民主党政権の「事業仕分け」(実際に政党レベルでは、一昨年から自民党政務調査会がこの事業仕分けを採用し、昨年度政府予算案編成時に、七千億円規模の予算削減を実現している。)でも、非常勤理事二名を除けば理事全員が角界出身者、身内で運営してきた組織で、百億円超の総事業費のうち、相撲興行という立派な営利事業が八十億円超、年寄株が数億円で売買されるという不思議な公益法人に本格的なメスが入らなかった。「天下り」叩きのパフォーマンスが眼目、公益法人の適格性も含めての本格的議論など、大衆迎合を専らとするパフォーマンスで取り上げるものでもなかったのだろう。朝日新聞が指摘するように、自民党政権時代から文部科学省の認識、対応は甘く、杜撰極まるものだった。産経新聞が主張するように、文部科学省はまずは早期に名古屋場所開催を取り止めさせるように指導すべきだと思うが、パフォーマンスは出来ても、「新しい公共」を「古い公共」たる政府主導で主唱するという矛盾に気付かないほどのアッパレたちに、本格的な公益法人改革に繋がるはずの日本相撲協会改組などの厳しい措置を期待することなど無駄だろう。

 本題の「宝くじ」だが、野球賭博の「寺(てら)銭」は賭け金総額の一割程度だというが、「宝くじ」の寺銭はそんなかわいいものではなく、五割を超えている。全国の自治体が発行した「宝くじ」の平成二十年度の売り上げは一兆四百十九億円、払い戻しにあたる当選金は四千七百六十一億円(総売上の45.7%)。収益金(「寺銭」)は純経費千百九十七億円(11.5%)を除いても四千四百五十九億円(42.8%)。この収益金のうち四千百七十八億円が宝くじ発行元の全国の自治体に、残りの二百八十一億円が委託宣伝費の名目で、今回の「事業仕分け」の対象になった「自治総合センター」「日本宝くじ協会」という総務省所管の公益法人に支出され、そこから「全国市町村振興協会」「地域活性化センター」「地域総合整備財団」「全国市町村研修財団」「自治体国際化協会」「自治体衛星通信機構」「地域創造」の六法人にも渡っている。
賭博行為は犯罪である。しかし、その犯罪の野球賭博の寺銭が一割で、公営の宝くじの収益は四割を超えるというのはどんなものか。五割を切る払戻金は、公営ギャンブルとしては如何なものだろう。繰り返すが、野球賭博の払い戻しは九割である。「地域の振興」やら「文化の振興」に寄与しようと宝くじを買い求める庶民はいないだろうし、寺銭が五割に近いということも知らなかっただろう。一兆円の掛け金の半分を懐にする、「濡れ手で粟」の悪徳を身に付けてしまった地方自治体、総務省が、今回の事業仕分けの評価結果を受けてどう動くのか。
 競馬を管轄する農林水産省、競輪の経済産業省、競艇の国土交通省なども同様であろう。これら官庁に対する事業仕分けは今後どうなるのか。自治体や、公営ギャンブル関連の公益法人のあり方について、本格的に検討するべき時期に来たと思うがどうだろう。 

2010年06月20日

財団法人地域創造について(二)


  前回 掲載した評価者コメントを整理する。
②「文化庁との連携も強化すべき」
⑤「他省庁との重複を見直す」
⑦「文科省(文化庁)の事業との融合を検討すべき」
⑪「他の公的組織の活用をはかる。地方六団体で見直して頂きたい」
㋔「希望する自治体と文化庁の橋渡しを行い、希望する自治体が文化庁と負担割合を決めればよい」
など、文化庁など他組織との「地域の文化・芸術活動支援事業」の連携、一本化を求める声が多かった。
 またその一方で、
ⓓ「宝くじ分担金ありきで、あえて文化庁との違いを強調して事業化したとしか思えない」
㋖「地方団体は、公共ホールを作った責任を感じながら、徹底的に利用状況の改善を図るべきで、予算増もやむを得ない」
⑭「各自治体が責任を持って一般財源により行うべき。この財団が行う必要はない」
など、文化施設の設置主体である公共団体の責任を問うコメントがあった。

⑧「判断基準、あるいは意志決定の責任を明確にすべき」
ⓔ「質と効果に対する判断材料が曖昧」
ⓖ「このようなオートマチックな負担で適切な効果測定や改善が行われるはずがない」
など、助成採択の判断基準の曖昧さへの指摘があり、

ⓑ「宝くじマネーに頼った運営では緊張感が生まれない」
との、事業そのものだけでなく、組織の在り方に対する厳しい意見もあり、「廃止」「天下り根絶」「事業の見直し」の声が大勢を占めた。

 これらのコメントの中で、特に気になるものは、
ⓓ「宝くじ分担金ありきで、あえて文化庁との違いを強調して事業化したとしか思えない」という意見である。
 「あえて文化庁との違いを強調して事業化したとしか思えない」とコメントした仕分け人が、上述のように②「文化庁との連携も強化すべき」⑤「他省庁との重複を見直す」⑦「文科省(文化庁)の事業との融合を検討すべき」などの文化庁など他組織との連携、一本化を求めたかどうかは判らない。財団設立が旧自治省主導の天下り先確保の方策と思わせる意見のようにも感じる。当時の旧自治省の中に、文化庁の「芸術文化振興」施策が、旧自治省が管掌する「地域振興」に不適、或いはカバーしきれないものとの認識があり、それが財団法人「地域創造」設立のきっかけになったのかもしれない。
 地域創造が、その設立目的に「 地方団体の要請に応えて芸術文化の振興による創造性豊かな地域づくり団体を支援する」とし、その活動方針として、「 文化・芸術活動を通じた地域の振興を支援」を掲げているが、これは、「地域の特色ある文化芸術の発展」を謳いながら、東京(中央)発信の地域への文化芸術普及に力点を置いてきた文化庁への対抗であったのではないか。

2010年05月23日

財団法人地域創造について(一)

 事業の見直しを迫られる「地域創造」

 5月21日に行われた行政刷新会議の「事業仕分け」では、宝くじ関連の9財団法人(すべて総務省所管)の15事業も取り上げられた。その評価結果としては、「総務大臣に天下りが解決するまでは宝くじの発売を停止するよう要請する」とし、8事業が「廃止」、7事業が「見直し」と、すべての事業が「廃止」「見直し」となった。
 今回の事業仕分けでは、財団法人地域創造の「地域の文化・芸術活動支援事業」と「公共ホール活性化事業」も対象になっていて、このワーキンググループ(WG)の評価結果は、
 
 ≪(当該法人の所管官庁である総務省において、当WGの以下の結論に沿って、必要な指導を行っていただきたいとの前提で)
 ☆国と地方の役割分担の在り方について整理するとともに、地方の総意に基づき行っていると言われる事業については、このような「地方の総意」の再検討を行う
 ☆対象事業の見直しを行う 
 ☆地方自治体の負担の在り方を見直す ≫
ということになった。
 以下は、評価者のコメントである。

 <対象事業について>
①「自治体単独ではできない事業により限定することが必要だと考える」
②「文化庁との連携も強化すべき」
③「文化芸術の専門ではない総務省の人材を使うのではなく、自治体は民間の力を活用すべき」
④「地方の仕事。埋められないホールがあるならば、順次廃止すべき」
⑤「他省庁との重複を見直す」
⑥「いずれも廃止」
⑦「文科省(文化庁)の事業との融合を検討すべき」
⑧「判断基準、あるいは意志決定の責任を明確にすべき」
⑨「宝くじ協会、自治総合センター、地域活性化センター、地域創造のどこがイニシアティブをとるのか、地域創造がとるべきではない」
⑩「事業の必要性が不明確である」
⑪「他の公的組織の活用をはかる。地方六団体で見直して頂きたい」
⑫「地域文化芸術活動支援は、地域活性化に役立つ部分があるが、地域に根ざした事業となっていないので、見直す必要がある」
⑬「公共ホールが乱立するハコモノに対して、利用する文化芸術活動の支援は、宝くじに頼るだけでは不十分であり、多様な財源の確保こそが(財)地域創造の重要事業である」
⑭「各自治体が責任を持って一般財源により行うべき。この財団が行う必要はない」
⑮「廃止する」
⑯「宝くじ収益を用いた地域文化芸術の支援は一本化して受け取れるようにする」

 <地方自治体の負担の在り方について>
㋐「事業見直しを踏まえて再検討する」
㋑「廃止する」
㋒「地方自治体の負担が大きい。負担軽減とともに、もっと主体的に運営できるように見直す」
㋓「この枠組みとしては負担ゼロ。もちろん、個別に判断すべき問題」
㋔「希望する自治体と文化庁の橋渡しを行い、希望する自治体が文化庁と負担割合を決めればよい」
㋕「地方団体の負担軽減を図る」
㋖「地方団体は、公共ホールを作った責任を感じながら、徹底的に利用状況の改善を図るべきで、予算増もやむを得ない」
㋗「分担金の負担は完全に廃止すべき。この仕組みのままであれば、宝くじの認可を与えるべきではない」
㋘「宝くじのお金は入れない」

 <その他のコメント>
ⓐ「天下り止める」
ⓑ「宝くじマネーに頼った運営では緊張感が生まれない」
ⓒ「総務省所管の財団がコントロールすべき事柄ではない」
ⓓ「宝くじ分担金ありきで、あえて文化庁との違いを強調して事業化したとしか思えない」
ⓔ「質と効果に対する判断材料が曖昧」
ⓕ「地方六団体が本気で設置者責任を果たすべきである」
ⓖ「このようなオートマチックな負担で適切な効果測定や改善が行われるはずがない」
ⓗ「理事への総務省関係者の天下り根絶」