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財団法人地域創造について(六)

「焼け太り」既得権益拡大を狙う中央官庁所管の財団法人

 2010年7月23日(金)の朝日新聞夕刊一面トップは、≪「無報酬」会長に年1300万円 経産省所管財団法人 謝礼金名目で≫の記事である。財団法人石油開発情報センターが、非常勤の会長については無報酬として公表しながら、実際には「謝金」として年間1300万を支払っていたというもの。記事には、<同センターは、財団法人の根本規則で、会長を含む非常勤の理事10人は無報酬と決め、ホームページなどで公表している。会長の職務はセンターの総理や外国の要人への対応などで週3日。複数の関係者によると、センターの会長に月々100万円余、年間約1300万円を支払い役員報酬ではない謝金として計上していた。理由について関係者は「20人規模の組織で有給の常勤理事長もいるのに、天下り官僚にまで報酬を出していることがわかれば批判を受けると考えたのではないか」と話している。><千葉大法経学部の新藤宗幸教授(行政学)は、「謝金にしては多額過ぎ、裏報酬に等しい。公金を回して天下り官僚を生活させるシステムは根底から見直すべきで、監督官庁の責任も重い。他の公益法人でも同様の仕組みがないか政府は調査すべきだ」と指摘した。>とある。
 この報道を受けて、経済産業省はどう動いたのか。
 同じ朝日新聞は7月27日に次のように報じる。
 <経産省は所管の公益法人で同様の事例がないか、早急に実態調査することを決め、その上で関係団体処分などを決める。><会見した近藤洋介政務官は「年1300万円の謝金は非常識。他の状況を調べて、どういう対応を取るか考えたい。」と述べた。同省によると、所管の公益法人は738ある。>。
 続報は8月6日の朝刊にある。
 <蓮舫・行政刷新相は5日、国所管の約3千の公益法人を対象に、隠れた役員報酬の支出がないか調査するよう指示したことをあきらかにした。調査対象は国家公務員出身者が常勤役職員にいる国か独立行政法人から計1千万円以上の支出を受けている、などの基準に該当する約3千法人。(蓮舫・行政刷新相は)「このような支出は、国家公務員出身の天下り、渡りの方への報酬を意図的に隠しているのではないかという国民の不信を招いている」と述べた。>

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構から、委託費・補助金の名目で収入の9割、7億円を得ているこの石油開発情報センターは、その後どうなったか。
 同センターのホームページにある「役員報酬規程」を見ると、この報道や、その後の経済産業省、内閣府などの調査を受け、会長についての報酬規定を改定している。その付則によれば、「22年9月10日に施行」とあり、その適用は遡って22年8月1日となっている。また、役員報酬額(月額)を明示していて、
  会長   925,100円
 理事長 1,370,200円  とある。
年額に直せば、会長は11,101,200円、理事長は16,442,400円である。
 「役員報酬規程」には、賞与についての規定がなく、また、収支予算書の支出欄中の管理費の項目には、職員給与、職員賞与、役員給与、役員賞与などと項目がなく、総額を人件費として表記しているので、賞与の有無、ある場合の金額は不明である。
 「役員退職手当支給規程」も9月10日に改正し、会長に対する支給も明文化した。
 謝金支給で無報酬のように誤魔化してきた財団、経産省所管部署に対する「処分」はあったのか。
 結果としては、財団を総理する立場の会長・榎元宏明氏(元・関東通商産業局長)に対する引責処分もなく、あろうことか、「規程」を改正させ、天下りを容認した。中央官庁の得意な「焼け太り」で事は収まったようだ。結果としては朝日などの報道が、国に寄生するだけの財団と、そこから闇給与を得ていた天下り官僚とを延命させることに協力してしまった。今のところ、肝心の朝日新聞の続報は、ない。
 「国民の生活が第一」「元気な日本を復活させる」、「天下りの温存となっている各種法人の廃止を含めた改革に取り組」むとマニフェストに掲げる民主党だが、実際には「公金を回して天下り官僚を生活させるシステム」を温存させ、「官僚の生活が第一」、「元気な官僚を復活させる」という官依存の方向に転換したのだろう。
 なんともあっぱれな「政治主導」の事例の一つではある。