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2011年11月 アーカイブ

2011年11月01日

劇場へ美術館へ≪GOLDONI/2011年11月の鑑賞予定≫

[演劇]
*3日(木)から6日(日)まで。 横浜日本大通り・神奈川芸術劇場・大スタジオ
『1924 海戦』 
 原案・演出・舞台美術:やなぎみわ

 
*4日(金)から13日(日)まで。          新宿・紀伊國屋サザンシアター   
 文学座公演
 <岸田國士傑作戯曲集>
『明日は天気』『驟雨』『秘密の代償』(演出:西川 信廣)

*16日(水)から20日(日)まで。           池袋・シアターグリーン
 <福田恆存生誕百年記念公演> 主催:財団法人現代演劇協會
『堅壘奪取』(演出:福田 逸)
『一族再會』(演出:菊地 准)


*1月15日(日)まで。                 浜松町・四季劇場[秋]
『劇団四季ソング&ダンス The Spirit』
 構成・振付・演出:加藤 敬二 装置:土屋 茂昭
劇団四季HP http://www.shiki.gr.jp/


[歌舞伎]
*3日(木)から26日(土)まで。               半蔵門・国立劇場 
 国立劇場十一月歌舞伎公演
『日本振袖始』 『曽根崎心中』
出演:藤十郎  梅玉  魁春  東蔵 ほか


      
[音楽]
*10日(木)                  向ヶ丘遊園・川崎市多摩市民館
『ライナー・キュッヒル ヴァイオリン・リサイタル』
ピアノ・加藤 洋之
演奏曲目:モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ト長調第18番
          フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
           マスネ:タイスの瞑想曲

*13日(日)                      千駄ケ谷・津田ホール
『ケネス・ワイス チェンバロ・リサイタル』
演奏曲目:J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988 


[展覧会]
*6日(日)まで。                     広尾・山種美術館
歌舞伎座建替記念特別展『知られざる歌舞伎座の名画』

*13日(日)まで。                  日本橋・三井記念美術館  
『華麗なる<京蒔絵>三井家と象彦漆器』

*12月18日(日)まで。                 丸の内・出光美術館
日本の美・発見Ⅵ『長谷川等伯と狩野派』

2011年11月03日

推奨の本
≪GOLDONI/2011年11月≫

安藤鶴夫作品集 第6巻
朝日新聞社 1971年

 さて私は映画を除いて、開いている限りの小屋を、文字通り片端から行脚した。
 松竹新劇場(山茶花究一座旗揚公演)では、船場久太郎補綴脚色の「歌う白野弁十郎」を、大都劇場(吉本楽劇座)では、阿木翁助作の「華やかな燭」を、花月劇場(伴淳三郎一座)では、深井俊彦作の「江戸子夢物語」を、大勝館(劇団たんぽぽ)では、小沢不二夫作の「沐浴する仙女」を、常盤座(杉山昌三九、本郷秀雄一座)では、三林一夫作の「東海水滸伝」を、そして松竹演芸場では、中村目玉・玉千代の浪曲漫才を、私は出来る限りの忍耐をもって、そのそれぞれの舞台の或る一節と向い合った。
 そこには詩人剣客の心意気を低能扱いした白野弁十郎、白痴と勘違いをしている山の仙女、任侠を無智と履き違えた森の石松や、ピンク色のカーテンの前で、九段の見世物然と女が椅子に三味線を抱えると、男がぺたりと舞台に座って「泪一つがままならぬ」と絶叫している漫才がいた。
 自分の緊張感を取り戻すために、捨台詞同様のなに気ない台詞を、突如として力んでいったりする重演技、そして最も大切な件をあらぬ方に気を取られて、しかもそれをいっぱし舞台なれしているつもりかなんかでいる軽演技、しかもそのほとんど全部の発声法は全くでたらめであり、満足に台詞が通らず、たまたま聞える俳優の台詞は、全然訓練された舞台の声ではなく、普通人がただいたずらに大声で怒鳴っているのとおなじようである。
 事についでにもう一つ畳み込めば、或る劇場の廊下に貼り出された番組に、堂々、「殺陣」を「殺人」と書いてあった事を秘かに報告したい。知らせたくない誤りだが、その誤りをなに気なくしている心理的なものを―無智を私を恐れるのである。

 浅草演劇に働く人々は、「演劇」そのものよりもこのあやかしに憑かれて、「演劇」を愛していると錯覚した人々ではあるまいか。浅草の演劇は、作者も俳優もまずこの妖気から脱却しない限り、救いのない泥沼である。
 入場料を後日の参考に書くと、劇団たんぽぽの二階五円十銭(内税金三・四〇)を最高に、松竹演芸場の一円九十銭均一(内税金〇九・五)を最低として、ほかはだいたい三円台で、それは平日であったにもかかわらず旧産業戦士級の人々によって、どこもかしこも鈴生りの超満員であった。金竜劇場の楽屋番は、このごろの観客気質を語って、「昔は自分でひいきの役者をみつけたものだが、いまじゃア人が騒いでいれア、すぐそれがひいきになっちまうんでさ 」
 (『浅草六齣』「興行街」より(一九四五年))