関西歌劇団を傘下に持つ財団法人関西芸術文化協会による文化庁助成金(税金)の不正受給問題は、大阪の事件だからだろうが、讀賣新聞大阪本社版の記事と、インターネットでの讀賣ニュースでの報道だけのようだ。
東京の新聞各紙、とりわけ学芸・文化部門の沈黙は不自然で不気味でもある。
10月22日に、この『提言と諌言』で、この不正問題の報道を纏めて紹介したので、今回は一昨日の、同じ讀賣ニュースをダイジェストにして紹介する。
<関西芸術文化協会の不正受給、文化庁がずさん助成>
―6公演の収支決算 条件不足を”黙認”―
文化庁は、同協会主催の計9公演のうち6公演について、助成金支給条件を満たしていない欠格決算を黙認していた。支給条件は、公演経費が助成金の3倍以上で赤字であること。文化庁に提出した収支決算書によると、5公演の経費が助成金の3倍未満で、1公演は「黒字」と報告されていたが、文化庁は助成金返還などの措置は取っていなかった。同庁は「公演前に算出された見積もりに対する助成制度で、実際の支払額は助成金額に影響しない」とするが、ずさんな助成制度自体の見直しが迫られそうだ。
なかでも、黒字は、02年度の「源氏物語」。支出約2600万円に対し、助成金800万円を加えた約2900万円が収入で、約300万円の収益が出たという。ほかにも、04年度の「コジ・ファン・トゥッテ」では、支出約3900万円に、「道具代」「衣装費」の架空請求分が約600万円含まれており、これを差し引くと支出は3300万円。公演には1200万円の助成金が支給されており、結局、この場合の支給条件である3600万円を満たしていないという。
文化庁芸術文化課によると、助成金は、公演前の見積もりに基づいて各団体などと請負契約したうえで支給。「実際の支払いが少なかったり、収入が多かったりして、契約時の計算書と収支決算書の内容が異なり、支給条件を満たさなくなっても返還を求めない」としているが、同協会の不正受給問題の発覚を受け、「防止策を検討中」
という。
収支決算にかかわった同協会関係者は「経費が助成金支給条件に足らなくても問題はない、と当時の上司から言われていた。文化庁の問い合わせはあったが、訂正を求められたことは一度もない」と話しているという。