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「財団法人新国立劇場運営財団の存廃」について考える(六)

 「駆け込み天下り」急増と「天下り役人を生贄に」の強硬論について

 読売新聞の8月4日付け朝刊には、「独法天下りラッシュ…民主政権にらみ駆け込み?」として、国土交通省が元次官の峰久幸義氏を独立行政法人・住宅金融支援機構の副理事長に起用。文部科学省は、7月14日付けで退任したばかりの銭谷真美氏が独立行政法人・国立文化財機構の組織の一つである東京国立博物館の館長に就任したこと、認可法人の公立学校共済組合の理事長に、元文部科学審議官で独立行政法人・日本学生支援機構理事の矢野重典氏を充てたと報じた。
 そして、矢野氏については04年7月の退官後、3度目の再就職となること。文部科学省側が、共済組合の地方支部長は各都道府県の教育長が務めていて公共性が高く、『渡り』禁止の例外と考えている、とし、また銭谷氏の人事については、新任の坂田東一次官が、「文科省が間に入ったのではない」とあっせんを否定した、とも伝えている。

 この「駆け込み天下り人事」については、新聞各紙や週刊誌などでも同様に報じられ、またインターネット上でも相当に書かれているようだ。
霞が関にあっては地味な役所と思われる文部科学省の事務方トップの名など世間に広く知られることもなかった。しかし、最近では、元文化庁長官で文部科学大臣も務めた遠山敦子氏が、文部科学省の外郭団体である財団法人新国立劇場運営財団の理事長としての業績、というよりも、その天晴れな女帝然とした強権ぶりで、朝日新聞始め新聞各紙や月刊誌・週刊誌の批判・からかいの対象になるほど注目されるようになった。今回の「駆け込み天下り人事」騒動によって、遠山氏の部下だった銭谷氏は、自ら望んでのことではなかろうが、かつての上司を超える知名度を獲得しそうである。

 『日経BPnet』には経済アナリスト・森永卓郎氏の『厳しい時代に「生き残る」には』が連載されているが、18日には、些か恐ろしいタイトルの文章が載った。題して「天下りを根絶するには、恐怖政治しかない」。またその小見出しには、<天下り役人1人当たり1億円がかかっている><役人にとって天下り先は龍宮城のような世界><はたして鳩山代表にえげつない対策ができるか>とある。
 そこには、「ふざけているのが、これに対する文部科学省の言い分だ。「文科省が間に入ったのではない」とあっせんを否定しているだけでなく、公立学校共済組合の理事長は公共性が高いので、「渡り」禁止の例外だといっているのだ。「公共性が高いから渡りではない」というその理屈は、わたしの頭ではまったく理解ができない。はたして民主党政権になったら、本当に天下りが根絶できるのだろうか。」とあり、民主党のマニフェストには<天下りのあっせんを全面的に禁止します>とあって、中央官庁が斡旋の証拠を隠蔽して「あっせんではありません」と言い張ったら、「民主党政権はどう対処するのか」と問い、結論として、森永氏自身の役人経験からの方策として、「役人を思いどおりに動かしたければ、恐怖による支配しかない」「理念だけで行革を叫んでいても本当の改革はできない。気の毒ではあるが、だれか生贄を出さないことには役人の意識は変わらないのだ。」と結んでいる。
 「敵失」「ばらまき」「ポピュリズム」と、何とも芳しくない形容で譬えられつつ誕生する民主党新政権だが、「恐怖政治」を敷き「生贄」を以って中央官庁の官僚を統御することが出来るのだろうか。