2021年07月

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

アーカイブ

« 「財団法人新国立劇場運営財団の存廃」について考える(四) | メイン | 「財団法人新国立劇場運営財団の存廃」について考える(六) »

「財団法人新国立劇場運営財団の存廃」について考える(五)

<「天下り」全面禁止><独立行政法人の原則廃止><官庁外郭団体の廃止>を掲げる民主党の「政権公約」 

 民主党は7月27日、衆議院選挙マニフェストを発表した。その冒頭には
政権構想の5原則
 原則1  官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ。
 原則2  政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ。
 原則3  各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ。
 原則4  タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆(きずな)の社会へ。
 原則5  中央集権から、地域主権へ。

を掲げている。
 今回は政策の詳細が書かれている「民主党政策集INDEX2009」から、行政改革について述べているところの引用から始める。

行 政 改 革
霞が関改革・政と官の抜本的な見直し
 与党議員が100人以上、大臣・副大臣・政務官等として政府の中に入り、中央官庁の政策立案・決定を実質的に担うことによって、官僚の独走を防ぎ、政治家が霞が関を主導する体制を確立します。なお、政・官の癒着によって公正であるべき行政が歪められることがないよう、政治家と官僚の接触に関する情報公開など、透明性確保のための制度改善を図ります。また各省設置法のあり方を抜本的に見直し、内閣の意思によって柔軟かつ機動的な省庁再編を可能とするよう改めます。
行政刷新会議の設置による国の事業の見直し
 真に国民のためとなり、ムダのない行政をつくるため、各省庁に対して情報提供を求めることができる強力な権限を持った「行政刷新会議(仮称)」を設置し、自治体関係者や民間有識者の意見を踏まえ、国・自治体・民間の果たすべき役割分担の再構成を含め、集中的に国の事業の見直しを行います。
天下りの根絶
 独立行政法人・公益法人など4504法人に2万5245人もの国家公務員が天下り、天下りを受け入れた団体に対して12兆1334億円(2007年度)もの資金が流れていることが、民主党の要請によって行われた衆議院の予備的調査で判明しました。
 役所のあっせんによる天下りは、官製談合や随意契約など税金のムダづかいの原因になっています。そのため、中央官庁による国家公務員の再就職あっせんを禁止するとともに、天下りの背景となっている早期退職勧奨を廃止します。また国家公務員の定年を段階的に65歳まで延長することによって、年金受給年齢まで働ける環境を整えます。
独立行政法人改革
 独立行政法人等は、国からの補助金や交付金を使って非効率的な事業運営をしていたり、官僚の天下りの受け皿となるなど、さまざまな問題点を抱えています。このため、独立行政法人等は、原則廃止を前提にすべてゼロベースで見直し、民間として存続するものは民営化し、国としてどうしても必要なものは国が直接行います。
 天下りの受け入れの見返りに業務を独占するなど実質的に各省庁の外郭団体となっている公益法人は、制度改革にあたって廃止します。
国が行う契約の適正化
 国が2007年度に行った契約のうち、中央官庁等の幹部OBを天下りとして受け入れている団体に対するものについて、その契約金額の約95%が随意契約によるものであることが判明しました。 
 国が行く契約の適正化を図るため、会計法を改正し、国による随意契約・指名競争入札について、契約の相手方における天下り公務員の在籍状況や随意契約・指名契約入札の理由など厳格な情報公開を義務付けます。
 契約の事後的検証と是正措置を担う「政府調達監視等委員会」を設置します。また、政府に対して勧告権を有する「行政監視・評価院」(日本版GAO)を国会に設置し、税金のムダづかいを厳しく監視します。

 前回のブログでは、自民党の政権公約を、
1)「天下り」や「渡り」は全面的に禁止
2)公益法人への委託は廃止
3)必要不可欠な業務だけ、国、独立行政法人で行う
 と要約し、自民党が政権を維持した場合は、独立行政法人日本芸術文化振興会、財団法人新国立劇場運営財団という舞台芸術を扱う二つの法人は、「4年以内に組織の大きな変更を余儀なくされる」と書いた。
 この民主党の政権公約では、
日本芸術文化振興会は「独立行政法人の原則廃止」の対象であり、
「独立行政法人の事業について、不要な事業や民間で可能な事業は廃止し、国が責任を負うべき事業は国が直接実施することとして、法人のあり方は全廃を含めて抜本的な見直し」となる。
 また、財団法人新国立劇場運営財団は、「天下りの受け入れの見返りに業務を独占するなど実質的に各省庁の外郭団体となっている公益法人は、制度改革にあたって廃止」に該当する。「実質的に霞が関の天下り団体となっている公益法人は原則として廃止する。公益法人との契約関係を全面的に見直す」とあるので、財団法人として存在することもなくなるだろう。
 総合情報誌『FACTA』2009年8月号に掲載されているレポート<遠山敦子が演劇人から嫌われる理由>によれば、財団法人新国立劇場運営財団は、「今後予想される公益法人への移行作業の中で、(騒動の主因となった)芸術監督の任期の見直しなどを図っていく」のだそうだが、はたして「芸術監督の任期」を見直ししている場合だろうか。
 9月からは新しいシーズンを迎える新国立劇場だが、「天下りの受け入れの見返りに業務を独占するなど実質的に各省庁の外郭団体」として、「制度改革にあたって廃止」の対象となるこの財団の運営による「最後のシーズン」となってしまうのだろうか。