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「財団法人新国立劇場運営財団の存廃」について考える(十五)

行政刷新会議の事業仕分けで、文部科学省・文化庁の事業に「廃止」「整理・削減」連発(8)
会計検査院に指摘された「芸術創造活動重点支援事業」の杜撰さ(2)
「芸術拠点」ではなく「不正拠点」を支援する文化庁事業
 前回取り上げた会計検査院の決算検査は、平成15年度から17年度までの 芸術創造活動重点支援事業(平成16年度以前は、芸術団体重点支援事業)、芸術拠点形成事業、国際芸術交流支援事業のうちの172件、支援(請負契約)総額27億7838万円分についての抽出検査である。
 この芸術創造活動重点支援事業の15、16、17年度の支援(請負契約)額はそれぞれ、118億45百万円、98億75百万円、99億25百万円で、3年間の合計は316億45百万円である(件数については、手許に資料がなく不明)。
 したがって、検査したものは金額からみれば、全体の8.78%であり、もし仮に悉皆(全部)検査をしたとすれば、検査での指摘額(支援限度額を超過した金額)は20億5千万円規模程度に膨れ上がった可能性が高いだろう。また、検査した172件中の60件に問題があったと指摘されたということは、全体の35%、3分の1以上が支援限度額を超えた不適正な案件だということにもなる。
 件の関西芸術文化協会の問題は、虚偽記載を繰り返すことでの不正受給であるが、この案件は、虚偽記載の指摘(内部通報)以前の、計画書(見積り)と実績報告書を照らし合わさずに計画書段階で支給(請負契約)額を決める制度上の欠陥によるものだ。制度上の欠陥によって3分の1程度が不適正になるわけだが、これは提出され、採択された公演の計画書にいっさい虚偽、錯誤記載が全くない、不正な受給を求めるという犯意がないという前提での話である。

 会計検査で指摘された、<事例2>を検証する。
 <事例2>
1) 文化庁は、C財団法人のD公演に係る平成16年度芸術拠点形成事業の申請に際し、16年1月に提出された計画書等を審査した結果、支援の必要性が認められるとして、採択することに決定した。
2)そして、C財団法人との請負契約に当たり、同年6月にC財団法人から提出された見積書等に基づき、2679万円を支援限度額と算定し、この額を基に2600万円で契約を締結した。
3)その後、C財団法人は同年7月に当該公演を実施し、翌年4月に同額の支払いを受けていた。
4)しかし、実績報告書等の実績額によると、入場料収入等の収入額は5859万円、出演費等の支援対象経費は7071万円となっていたことから、金額〔2〕は支援対象経費7071万円に3分の1を乗じて得た額である2357万円となる。
5)一方、金額〔1〕は支援対象経費7071万円から収入額5859万円を除いた1212万円となり、金額〔2〕を下回る
6)このことから、実績支援限度額は1212万円となる。
7)したがって、支援額2600万円はこれを1387万円超過(超過率114%)する結果となっていた。

 1)から7)の流れを見ると、該当公演の直前、ひと月前にC財団法人から提出された見積書に基づいて、支援限度額を2679万円とし、2600万円で請負契約を締結、17年4月に同額を支払った。しかし、提出時期は不明だが、公演終了後に提出された実績報告書では、入場料等の収入額が5859万円、支援対象経費が7071万円となっており、「自己負担金の範囲内、かつ支援対象経費の3分の1以内の定額」との規定から、2357万円(金額〔2〕)となる。そして、支援対象経費7071万円から収入額5859万円を引いた実質赤字額は1212万円(金額〔1〕)である。
 したがって、「支援限度額は、(金額〔2〕)(金額〔1〕)のいずれか低い額とする」規定から、実績支援限度額は1212万円であり、実際に支払われた支援額2600万円は実質の支援限度額1212万円を2.14倍上回る額となった。
 この場合、事後の実績報告をもとに支援額を特定し、支払うものであったならば、他の案件の支援額の決め方から推し量れば、C財団法人への請負契約額は、最高で助成支援額は1200万、少なければ1000万円程度のものだっただろう。

 この問題について、今のところ判っているのは、
 「会計検査院が講じた改善の処置」として、「19年度以降の芸術創造活動重点支援事業等については、芸術団体等と請負契約を締結する際に使用する契約書に精算条項を加え、公演等の実施前に決定された支援額が実績支援限度額を超過した場合には、精算を行うこととする処置を講じた。」ことである。
 1200万で済むはずが、2600万円を支出する。差額の1400万円は外郭団体に天下った文部科学省出身官僚の平均的な年間給与に匹敵する。C財団法人に天下りがいるのかどうかは知らぬが、どこの出身であれ、常勤の理事でもいれば、その一人分を補填している形になってしまう。
 1200万円のところを2600万円払わせる。
 真っ当な民間の感覚では、これは「不正受給」そのものである。
「猫ばばを決めた」のか、「詐欺を働いたのか」は、これから先の話である。

 では、
a)C財団法人は何か。その「拠点」たる劇場(ホール)はどこか。
b)文化庁はこの案件について、請負契約額の変更措置をしたのか、しなかったのか。
c)文化庁が請負契約額の変更措置をしたとすれば、C財団法人は、それに応じたのか。
d)あるいは、措置がなくとも、会計検査院から文化庁が指摘された超過額1387万円見当の額を自主的に返納したのか。
e)この会計検査が実施され、報告書が内閣に提出された後に、文化庁はそれまでの事業での採択事業の請負契約額の再チェックをしたのか、していないのか。
f)平成19年度以降に、このC財団法人に対して、芸術創造活動重点支援事業としての採択があるのか、ないのか。
g)あるいは、このC財団法人は、自らこの事業に対して申請を自粛しているのかしていないのか。
h)c)、d)とも関連するが、このC財団法人がこの問題にどう対応したか。返納措置以外の、担当者、責任者に対する処分等の措置があったのか、なかったのか。
i)文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会は、文化審議会等の審議会、あるいはその事業に関わる選考などの委員会等で、このC財団法人の関係者を起用しないなどの措置を取っているのか、いないのか。

 g)、h)以外の問題は、いずれ文化庁の担当課室に問い合わせて確認し、公表する。
 C財団法人が特定できれば、g)、h)についてもC財団法人等に問い合わせて確認し、公表する。
 ただ、満足の行く答えが得られる可能性は低いだろう。
 行政文書の開示請求をして、じっくり調べて公表するつもりだ。