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久しぶりの『提言と諫言』

  カラ超過勤務手当の支給、職員全員への背広支給、給与・手当・年金のお手盛りなど、役所ぐるみの不正、職員厚遇を長年繰り返していた大阪市役所の呆れた実態が報じられたのは、もう6、7年ほど前になろうか。その当時、大阪・梅田の街頭でテレビ(毎日放送だったか)の取材に答えた市民の声の中に、「恥ずかしいから大阪市役所は大阪から出て行け」というのがあり、その見事な諧謔に感心したものだ。
 3月11日の東北地方太平洋沖地震、福島原発事故の直後だったが、フジテレビの報道番組ではNHK出身の木村太郎、東京12チャンネルの番組では同じNHK出身の池上彰が、「国会議員は、せめて復旧・復興の邪魔だけはしないで欲しい」と異口同音に語っていたが、まったく同感である。
 震災以来、与野党を問わず、幾多りかの国会議員から送られてくる活動報告のためのチラシ、タブロイド新聞、冊子は、被災地での首長との会見写真、瓦礫を背にした風景写真などを大きく載せ、予算獲得や政府への助言など、いかに積極的に活動しているかの自己宣伝に溢れている。被災自治体の首長、職員が対応にどれほど忙殺されているか、瓦礫の下にも行方不明者が無惨に埋もれているか、その想像もつかない虚け者ばかりである。そんなに積極姿勢を見せたいなら、休みなしで働いている福島原発の警戒地域9市町村の職員に代わって、避難者の一時帰宅時の世話をしたらよいだろう。それではアピールが弱いと言うなら、被曝覚悟で警戒地域での瓦礫撤去に出向くか、9万トンを超えた福島原発の放射能汚染水を処理施設のある柏崎刈羽まで運ぶ手伝いでもすればよい。
 4月からの半年間、議員歳費の3割を削減する法案提出に与野党が合意したと聞いたのは2カ月も前だったが、政治利権、議員特権、党内抗争、政局こそが政治だと心得る日本の恥ずかしい「選良」たちに、この小額の手形すら落とさせることは難しい。
 街頭取材する場所として、マンネリ、知恵の無いテレビ局がワンパターンで選ぶ新橋駅前広場で、ほろ酔いのサラリーマンにマイクを向ければ、「恥ずかしいから国会議員は日本から出て行け」などとの声も拾えそうだが、ジャーナリズム、批判精神は無論、諧謔を解せないテレビから、それが放送されることはないだろう。