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非売本の貸出もする『GOLDONI』

海外公演チケット販売の(株)カーテンコールの小林秀夫氏が来店。続いて若い男女の4人組が入ってきたので、小林氏には奥で待機して戴く。演劇とは縁のなさそうな、素朴さと悧発さを持った4人組は、信州大学の人文学部や教育学部の3、4年生。その内のひとりが、GOLDONIでは将来の舞台芸術図書館の蔵書にするつもりで非売品扱いの『コメディア・デラルテ』(ミック著・梁木靖弘訳。未来社刊)を探しているが見つからないと言うので、期限付きで貸して差し上げる。泉澤君、読後レポートを求められるとも知らず、嬉しそうに帰っていく。4人組がいたので店に入れず、外に待つ青年ふたり。音楽公演を企画する団体のメンバー。いつもは企画のことで話を伺ったり、PCのことを教わったりするが、やっと本を探し始めた小林氏に、再度の交流のお願いは憚られ、外で立ち話。
小林氏からはご自身の事業のことなど伺った。当方の、夢の『舞台芸術図書館』についても、長い時間話し合い、また諭されもした。忝し。
フランス演劇の岡田正子さんから、久しぶりの電話。私の陳腐な啓蒙運動を知ってか、相当の年配だと思われたのか、ご自身よりふた回りも下の年齢であることに驚いていらした。
  ×         ×
専門書店に来て、それも品切・絶版の、売値が定価の倍にもなる本を、初めての来訪者が借りられることに本人は驚いていたかもしれない。4年(準備期間を入れれば6年)前に始めたこの演劇書専門GOLDONIは、何度でも言うが、最初から採算度外視の、演劇の啓蒙運動。GOLDONIに来たことのない知り合いの「演劇人」や「演劇研究者」の多くは、劇場や大学などで出会えば、「商売、どう」とお気遣い下さる。彼らの同僚、先輩後輩、教え子が、他では読めない本を借りたり閲覧していることも知らないで、だ。著名なライターの永江朗氏の取材を受けたときには、「こちらは劇団四季とか文学座とか文化庁とかの支援でおやりになっているのですか」との永江さんの最初の問いに、「私の支援だけです」の一言で、彼にバツが悪い思いをさせたが、永江さんほどの目利きでなくとも、普段に本探しをする人ならば、GOLDONIの店の規模では採算が取れないことと同時に、レファレンス中心の日本では稀有な専門書店であること、目的が他にあることは瞬時で判るはず。GOLDONIに来る演劇を学ぶ学生や劇団の研究生は、ほぼ例外なく、「うちの先生はゴルドーニに来ますか」と訊く。「来ないね」と言うと、彼らは一様に悲しそうな表情になる。どういうことか、いまどきの「演劇人」たちに理解できるだろうか。