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GOLDONI JUGEND

 15時過ぎ、ある大手企業で経営計画を手掛ける友人から久しぶりの電話。本社オフィスから離れて、ある製品群の開発部門が二百人規模で、再開発地区のビジネスセンタービルに入居しているが、その区の芸術文化振興財団から支援・協賛のお願いに伺いたいと言って来たが、どんなものだろう、と。財政破綻している区本体からの、委託事業費や運営負担金が大幅に削減されていて、財団運営がキツイのだろう。一口幾らの協賛金目当てのもの。「百万や一千万では、焼け石に水で、お役に立たないのでは。財団への出資やホール・美術館の売却のお話ならば、検討しますよ」と言ったら、とアドヴァイス。小遣い銭を貰いに来たのに、ホールや美術館の買収を持ちかけられたら吃驚して二度と来ないのでは、とも。小遣い銭で思い出したが、三十数年前の高校生時分、駕籠町で体育会系の大学生四人組に金を強要(喝あげ)されかかったことがある。大学名を訊くと、東洋大学だと言うので、「母のいとこが、そちらの学生部長をしている。秋葉神社の、大東亜戦争肯定論者の千葉栄といいますけれど、ご存知ですよね」と伝えたら、彼らの態度が豹変した。以来暫くは彼らからボディガード役を申し込まれて迷惑したことがある。おとなしくしていても保守の高校生というだけでも危ない60年代後半のあの狂騒の中、せっかくのお申し出だったが、新左翼にも公安当局にも神道系右翼高校生と断定されては敵わないので拝辞した。不穏当と思える申し出には、優しく断ることが肝要と、このことで覚えた。
 昨日は、ロス留学組で、今はひとり演出家デビューを企てるK君が、寄贈された資料の整理を3時間ほどしてくれた。今日の昼には、東京理科大劇研出身、フランス留学を計画中の佐々木治己さんが、アテネ・フランセの授業の帰りに寄る。18時前、新潮社メディア室長・岡田雅之氏のお使いで、ドイツ留学を検討しているT君が本を届けてくれる。この三人はいまどきの演劇青年にしては珍しく戯曲・研究書をよく読み、議論も出来る。演出やドラマトゥルク志望というところだろう。私が作りたい『アレーナ・ゴルドーニ東京』は、こういう基礎学力、学問習熟度の高い二十代の青年たちの練成道場のようなもの。彼らは少しとうが経っているが、立派なGOLDONI JUGENDだ。