2021年07月

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天王洲と西麻布で欧米を学ぶ

GOLDONIのご常連で、ワシントン大大学院で演劇を学ぶお嬢さんのご両親、V氏ご夫妻のお誘いで、ロシア国立アカデミー・マールイ劇場のアントン・チェーホフ作『かもめ』を観劇するため、天王洲のアートスフィアへ急ぐ。開場の18時半前に着いたが、劇場玄関のある2階フロアには、開場前の観客の賑わいが無く、一瞬、腕時計が狂ったか、あるいは約束の日を間違えたかと思うほど。定時に公演は始まったが、客席は、特設の回り舞台のための席潰しで客席数を大幅に減らしていたが、それでも1階は半分程度の入りか。アルカージナのイリーナ・ムラヴィヨーヴァ、トリゴーリンのユーリー・ソローミンなど老練・達者な演技。ドールン役のアレクサンドル・ミハイロフが出色。最終四幕の、ニーナとトレープレフとの再会と離別の場面の間中、下手奥の食堂で皆が夜食を摂っているシーンは、多くの観客には見えにくかったかもしれないが、下男、料理番に至るまでが緻密な演技をしていて、圧巻だった。休憩を挟んだ二時間四十分、退屈を覚えなかった。最近の私の観劇では珍しいこと。終演後は、西麻布に移動、ご夫妻も初めて訪れる西洋料理店へ。グルマンのご夫妻と健啖なだけの私の3人は、よく食べ、よく話した。ご夫君の「そうめんの薬味には大蒜が最高。今度試してごらんなさい」から始まり、欧米と日本の風土、近代史、演劇、政治、高等教育などの違いなどに及び、非常に楽しくまた教わることの多い3時間だった。拙宅まで送って戴いた車の中でも、寄付税制や支援のあり方など話し合った。秋の夜長、楽しく、充実した一夜を賜った。