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『近松と文楽』から考えたこと

昨夕は18時にGOLDONIを閉め、台風前夜の風雨の中、池袋・東京芸術劇場五階会議室での、日本舞台技術総合センター主催のセミナーに急ぐ。文楽の演出・監修の第一人者である山田庄一氏による『近松と文楽』講義。前半は近松、義太夫、藤十郎の時代、歌舞伎と文楽との盛衰を、簡潔に説明。後半は近松作の『心中天網島』『傾城反魂香』と、後の時代の作者による改作との違いの分析。氏のお蔭で久しぶりに近松さんに出会えた。あっという間の二時間だった。山田氏は79歳、谷崎潤一郎の『細雪』に描かれる、典型的な大阪・船場の商家のお生まれか。幼少より文楽に親しんだ、ほんまものの素養のある、選ばれた人。学生時分に近松・出雲を教えて下さった乙葉弘先生は、大正初年の東京の下町(日本橋だったか) のご出身。家の周りの長唄や清元、三味線の音で育った本物の研究者だ。戦中・戦後、そして現代までの六七十年は、大阪、京都、そして東京(江戸)も、山田氏や乙葉先生が育ったような環境はなくなった。育ちの中で、バックグラウンドを持たない、この時代の古典芸能実演家、研究者、愛好家というのは、不思議な存在、かもしれない。このセミナーの主催である、日本舞台技術総合研究センターは、舞台美術製作関連の七事業者が作った、伝統芸能に従事する舞台技術者の育成、知識向上を図る団体だそうだ。会場には、裏方らしき高齢者も十人前後見られたが、大半は教養講座などと同様に女性が目立った。若い世代の、とくに男性の舞台技術者らしき人はほとんどいなかった。舞台技術者の減少がいわれているそうだが、歌舞伎座や国立劇場あるいは文楽劇場や古典芸能を手掛ける商業劇場は、若い舞台技術者を集められなくなっているのだろうか。だとすれば、これは大変な事態だ。民間の事業者だけでこの打開が図れるはずはない。独立行政法人日本芸術文化振興会はどんな対応をしているのだろうか。新国立劇場の演劇研修目的で予算要求をしているようだが、そんなことは今の演劇状況の中で急務ではないはず。至急対策を打つべきだ。現代演劇の方には、演出も含めて俳優やアートマネジメントの希望者が掃いて捨てるほどいる。大学生き残りの新手で、姑息な演劇系の学科作りが展開されているが、そこで生まれるのは、演劇の素養も、教養も、本格的な技術も、演劇人としての自覚も身に付かない、最初からの負け組だ。無駄に多い演劇希望者を、これ以上量産してどうするのだろう。どこぞに目賢い大学関係者はいないか。『総合舞台技術学科』の新設は時宜に適っている。カルキュラム・プログラムなら作ってあげるから。