2021年07月

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

アーカイブ

« マゼールの『ニューヨーク・フィル』 | メイン | ニューヨーク舞台芸術図書館 »

高階秀爾氏の講演会

18時半過ぎにGOLDONIを閉め、隣町の大手町の三井物産本店に急ぐ。今晩は、東京都美術館で開催中の『フィレンツェ-芸術都市の誕生展』の協賛事業である、高階秀爾氏の講演会。最初の案内では、会議室での開催だったが、聴講希望者が予想以上に多かったのか、急遽地下の多目的ホールに変わった。高階氏の講演は、前半がイタリア、わけても都市国家フィレンツェの特性、織物などの加工産業の出現や金融の発達などを詳述。成功した織物組合やメディチ家などが建築・美術の有力スポンサーになった背景について判りやすく説明。後半は、大量のスライドをつかって、フィレンツェの政庁舎や教会、そして今回の展覧会に出品している作品の解説。齢七十を越す高階氏、ほぼ2時間を立ち詰めで通される熱演ぶり。新国立劇場小劇場新企画の3、4ステージ分に匹敵する2百人近い聴衆の大半は、三十代から五十代までの女性。とくに目に付いたのが、物産の女性社員らしい人たちと社員の夫人らしき人々。高いイタリア観光人気も手伝ってだろうが、さすがは日本を代表する商社が主催する企画だけに、巷のカルチャーセンタや大学の公開講座とはひと味違う高級な文化講演会だった。広報部社会貢献室の担当者は慣れなさそうな司会進行に終始したが、ホール入り口で彼女を見つめる、彼女の上司と思われる女性は、私が知っている大学、財団、劇団、劇場、NPOなどこちらも日本の教育・文化を代表しているらしい団体の人々に、ついぞ観たことの無い、感じたことの無い厳しい表情をしていた。