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『終わりの始まり』其の一

最近、毎日のように遭遇する光景。電車の中で化粧をしたり、パンやおにぎりを食べたりの若いものたち。彼らを擁護する気は毛ほどもないが、日本全体に見られる公共空間の認知能力の欠如、マナーの無さは、このサルたちの親や祖父母の世代が作ったものだ。電車の中での最初の雑音、マナー違反は、ソニーの『ウォークマン』に代表されるヘッドフォン型のテープレコーダーから漏れる音だった。バンダイ製の『たまごっち』からも、音が漏れていなかったか。そしてここ数年は、携帯電話の着信メロディ、ゲームやメールを作る時の音だ。騒音・雑音を作り出す製品のメーカーは、『ウォークマン』『ゲーム機』『携帯電話』と大活躍のソニーを始めとして、現代の日本の代表的企業ばかり。店の前や横で、座りこんでパンやおにぎりに食らいつくサルたちも客にしなければならないコンビニを経営するのは、大手流通業者や大手の商社だ。騒音・雑音の問題ひとつ取っても、この国の経済成長・豊かさが、どんな企業が、どんな人間たちが、何を失って、いや、何を失わせて作ってきたか判ろうと言うものだ。GOLDONIでは、携帯電話を鳴らしたり、話したりしたら外に出るように注意している。先日は、ついにカメラ付携帯電話で書棚を撮ろうとしたものが現れた。叱りつけたが、誰何したら、旧知の人物に教わる演劇系大学生だった。こんなものたちを稼ぎのためだけに教えているのが、私が批判する「ヤッテルつもりのエンゲキ人」だ。そう言えば、先日、歌舞伎座で吉右衛門の『関扉』を観た帰りに寄った常連の学生の話を思い出した。ある中堅の劇団の演出家が受け持っている大学の舞台総合実習の授業は、実習に集中できず、教室に寝そべって携帯メール、ゲームに熱中する学生が出始め、「学級崩壊」しているそうだ。なけなしの技術や知識で演劇を教える前に、演劇で稼ぐ前に、遣るべきこと務めるべきことがあるだろう。即席の演劇教師のつもりの、ヤッテルつもりのエンゲキ人たちよ。