2021年07月

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『Sincere』と『Pride』の一夜

19時前、お茶の水女子大のOGを中心メンバーにした音楽企画集団『Sincere』の3人が、先月の公演の報告と今後の活動についての相談にやってくる。彼らと話し込んでいた21時前、店のガラス戸越しに中を覗くキャップを被った大柄の男性。なんだなんだと、彼らを押しのけて前進、ガラス戸を開ける。途端に男性3名、女性1名の4人組に囲まれる。キャップの男性は、「(フランス文学者の)鹿島茂さんにおたくを教えてもらった」と仰る。殴り込まれるのかと身構えていたが、とんだ勘違いで、恐縮しながら狭い店内へご案内。ニューラテンクォーター、用心棒、ピストル、懲役など、GOLDONIではついぞ耳にしない言葉が先様から発せられ、会話の中途で、作家の百瀬博教さんであることが判る。GOLDONIの店の構え・規模からしても利益が出るような商売ではないことはお判りなのだろうか、何冊か買って助けてやろうとの御慈悲でか、何冊もお買い下さるような勢いで本を選んでおられた(それも私の評価している亡くなった演劇人の本ばかり。物凄いインテリとの世評通りの選択。)ので、「手前どもはお一人様4冊までにして戴いております」と恐る恐る申し上げると、「そうか。ま、店の仕来たりだからな」と、見事なほどあっさりと納得して戴く。その後だったか、最初に私が店から出てきた時には、「俺に喧嘩を売りにきたのかと思ったよ」とも。「また来るからな」と不敵、いや素敵な笑顔で仰って、お供を引き連れお帰りになった。氏とのやり取りを見ていた彼らは、「懲役という言葉を生で聞くのは初めて」と感心、「いつもの凄みに、お墨付が与えられた」と、日夜自らの粗暴さを戒め、精進に努める私をからかった。