2021年07月

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

アーカイブ

« 貸切り状態の『千田是也展』 | メイン | 『Gentleman』に優しさを教わる日日 »

大賀典雄指揮の東フィル『レクイエム』

15日の続き。テレビモニターの千田是也氏に一礼、演劇博物館を後にする。早稲田駅の手前にできた古書店に入りると、探していた本が2冊あり、少し高かったが購入。一冊は故・森秀男さんの『現代演劇まるかじり』。二十数年前から存じ上げていたが、数年前から加わった研究会の発起人の一人で、一昨年秋に亡くなった時には、ひと月ほど森秀男著作コーナーを作り、追悼したことがある。その時に、どうしても欲しいという方々にすべてを譲ってしまっていた。もう一冊は『ノエル・カワード戯曲集II』。『I』は以前から持っていたが、なかなかこの本がバラでは見付からず、何年も探していたもの。懇意にして戴いているアメリカ人夫妻の愛嬢が、シアトルのワシントン大大学院ドラマスクールに留学中で、大学での公演でノエル・カワード作品をしているそう。年末にGOLDONIに見える予定のご夫妻に、貸して差し上げられる。
急いでGOLDONIに戻ると、「お店に伺う途中で迷子になりました」との電話。プリンストン大大学院博士課程の韓国人留学生の朴祥美さん。急いで外へ出て、水道橋に向かう白山通りの途中で発見、恐縮されるが、まま有ること。店までお連れすると、『前を通りました』。これはまま無いこと。研究テーマについて伺い、資料などを紹介する。『日本でもアメリカでも、研究者の専門専攻の幅が非常に狭くなっているようです』との指摘には、全く同意であった。プロフェッショナルとは如何なることだろうかなどと話していて、クラシック音楽の鄭兄弟(チョン・ミョンファ、キョンファ、ミョンフン-この『GOLDONI Blog』の8月26日『チョン・トリオ演奏会』をお読み戴きたい。)のことに話が及び、ミョンフンだったかが、プロ活動していない兄弟たちが、趣味として演奏を楽しんでいることが羨ましいと言っていた、と仰る。プロフェッショナルの演奏家、指揮者の日常は修練の連続。在英のピアニスト・内田光子の教養と日々の精進は有名だ。カレーのテレビCMに出てくるピアニスト、タバコやコーヒーなどのCMのヴァイオリニストなど日本の演奏家の日常は、どんなものだか寡聞にして知らないが。
18時20分に赤坂・サントリーホール。ソニー名誉会長の大賀典雄指揮の東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会。モーツァルト『ピアノ協奏曲ニ短調K.466』(ピアノ・清水和音)とモーツァルト『レクイエム』。久しぶりの清水和音。テノール・佐野成宏、ソプラノ・高橋薫子を初めて聴く。ソニーの役員退職慰労金16億円を軽井沢町に寄付、それを元手に来年の4月末にオープンする音楽ホールでも、指揮することが出来るほどの大賀氏の回復は見事。今後は東フィルのレヴェルアップに努めて欲しいもの。主催者・江副浩正氏のおともだちか、ソニーの絡みでか、合併前の大手銀行の頭取経験者や、外務省前駐米大使などが夫人を同伴して来場、「(日銀総裁の)福井さんが…」「つい先日、ヨーロッパから戻りましたの」「軽井沢以来ですわね」など、下々には縁の無い会話を楽しんでおられた。最近言われるところの新上層階級に属する彼ら、司法・警察当局にお世話になったり、出身官庁での処分を受けた方々ばかり、私なら嫌疑を受けただけでも閉門蟄居の日々を送るが、彼らには想像もつかないことだろう。社会的地位や組織での肩書の高さ、経済生活の豊かさを感じさせないお粗末な風貌・身のこなし。飾ってはいるが、品格の無いこと著しい。「顔立ち・風情・立居振舞は、教養や品格が自然と現れるものだから励みなさい」、と幼少のころより母親や師匠達に耳に胼胝が出来るほどに聞かされたものだが、はたして彼らの親はなんと言って我が子を育てたのだろう。