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春の彼岸のGOLDONI

卑しいものを卑しいと言えば己も卑しくなる、という戒めを幼い頃から親に教わり、金持ち喧嘩せず、君子は危うきに近寄らずの譬えを、「ニヒリズム」が横溢していた学生時分には弁えていたつもりだったが、卑しきものばかりが蠢き、金持ちも君子も既に見限りいなくなった演劇の世界で、原則を保持し少しは教養を身につけ、尋常な節度を持った人間たちが真摯に活動する場を創りたいと、ニンではないことを承知でいまどき陳腐と思われる啓蒙運動を続けてきた。このブログを読んで、演劇とは無縁の世界の友人・知人たちは、「演劇業界」や行政に対する私の批判が厳しく、リスクが多すぎることなどを心配して、メールや電話、時にはGOLDONIや誘われて出掛ける外食の折などに忠告をして呉れる。GOLDONI開業以来の常連客の中には、演劇の拠点作りに背水の陣を敷いて臨む姿を知り、それに賭ける情熱が、命まで賭けたものになるのではと懸念する人もいるようだ。有り難く、勿体無いことだ。彼等の心配が杞憂に終るかどうかは、この私にも判然としない。幼少からの修業や修養、親や師匠たちから教えられた戒め弁えを措いても、卑しく腐った現代演劇の世界を、いま少しは批判し、その浄化を進めていくつもりだ。先祖や先人の墓前に額ずかず、誘いや相談の電話もメールも届かず作業の捗る休日のGOLDONIで、その不孝不忠を詫びる、春の彼岸の中日である。