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経路依存性と行政組織

先日久しぶりに読んだ『複雑系のマネジメント』(ダイヤモンド社刊)に、現代日本経済史の岡崎哲二氏のインタビュー、「経路依存性から見た日本企業社会」が載っている。氏の説明によれば、経路依存性とは、歴史的な経路によって現在は制約を受け、将来もその影響を受ける、ということ。ホンダやソニーがイノべーティブな価値を追求する、あるいはトヨタがコスト効率を重視する、という組織のクセも経路依存性かとの問いに、氏は肯定し、企業文化はそう簡単には変わらず、企業組織の中に、長い歳月をかけて行動様式や思考を規定する有形無形の装置が仕掛けられていて、相互補完的に機能している。多くの企業が手掛ける新規事業や新規ビジョン・制度の制定などの新しい試みにも、この経路依存性の影響を受ける、と答えている。GHQが日本経済のシステムをリセットしたと言われる事についても言及している。GHQが行ったことは戦時経済に移行する前のシステムの破壊、財閥の解体や持株会社の禁止、地主制度の解体だった。法的なシステムを変えても、広い意味での制度には経路依存性が働いた。財閥をはじめとする戦前のシステムは、国家総動員法をバネに提出された勅令・関連法によってつくられたシステムに取ってかわられた。したがって、GHQは戦時中に機能を停止させられていた戦前のシステムを壊し、その結果、戦時中に出来たシステムの役割が相対的に高まった、と。氏のインタビューを読んでの私の独断的理解は、敗戦時に生き残った中央官僚組織が、GHQを騙し利用しながら、「国家総動員法」のエッセンスを延命させ、中央集権と翼賛型の行政を、「大日本帝国陸軍」という最大の官僚組織の崩壊したこの国に根付かせることだったのか、というものだ。
ヤミ残業、カラ出張、背広支給、職務特殊手当の乱発など、不正の限りを尽くす大阪市政がマスコミで取り上げられるが、これなどは氷山の一角で、中央官庁も、全国二千数百の地方行政も似たり寄ったりの様であろう。行政が作った公団や財団など外郭団体などの税金や地方債、郵貯などの投融資についての不正経理処理や、退職金稼ぎの渡り鳥の天下り人事ばかりか、役所をあげての怠業・腐敗・不正は、当の官吏に犯意の自覚が無いほどに組織化・日常化している。テレビの街頭インタビューで、ある大阪市民は、「市役所は大阪から出て行け」と、なかなか巧いことを言ったそうだが、感心ばかりしてはいられない。