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在外研修制度利用者を自衛隊予備役に編入せよ

中央官庁の若手官僚を2年間、海外の大学院などに留学させる、人事院の「行政官長期在外研究員制度」。40年ほど前から実施され、既に制度利用者は二千人を超えるという。最近はこの制度を利用した官僚が、帰国後に直ぐ退職し、民間企業に再就職したり、起業、あるいは政治の世界に入るなど、留学の本意から逸脱、制度の食い逃げが常態化しているそうで、以前からこの問題を読売新聞が追及していたからか、ついに人事院も不承不承、統一ルールを作ったという。その中身は、「帰国後5年以内に退職した場合、授業料分を返納する」という確認書を留学者に提出させるというもの。
拝金主義こそが美徳のこの日本で、国家に国民に仕えようと志し、勉学に励んで官吏になり、あまつさえ、海外で2年も学んで来ようという青年たちに対し、食い逃げを防止する策を弄するなど、何とも姑息で卑しい。5年以内に辞めてはならない、との姿勢で臨むならば、授業料だけでなく、渡航費用や給料・手当などの返還を求めることが筋だろう。制度として必要なことは、こんなことではない。国家・国民に奉仕するという官吏の本義、国家・国土・国民を守るということでもある。であるならば、この「行政官長期在外研修員制度」利用者全員を、自衛隊予備役に編入し、研修期間と同じ年限を、海外派遣地や国内・国外災害地の復興支援に従事させるべき。霞ヶ関や、地方出先機関、地方自治体での、謂う所の「馬鹿殿教育」先での役人勤めで、国民に仕えることなど露思わなくなる官僚を養うほど、この国は豊かであり続けない。業務執行能力、語学能力も高い二千人の制度利用官僚を、2年間も自衛隊員として働かせるのだから、自衛隊にとっても、送り出す中央官庁にとっても、サマワ始め国内外の派遣先にとっても効果のあることだろう。在学中に給料が支給される防衛大学でも、卒業時に任官拒否する者がいるという。彼等に対する措置はどうなっているのか知らないが、これも同様に4年の活動を義務付けるべきだろう。

本題である。
文化庁が施策としている、「芸術家在外研修制度」現在の「新進芸術家海外留学制度」は、昭和42年からほぼ40年に亘り、美術、音楽、舞踊、演劇、舞台美術、そして最近は映像メディア芸術、アートマネジメント等の「新進芸術家等」を海外に派遣、実際的な芸術研修機会を提供しようというもの。研修期間は、1年(100名)、2年(15名)、3年(3名)、特別研修(60名)の3ヶ月と、国内研修(60名)の10ヶ月。費用は、渡航費としてエコノミー航空券分、渡航支度金5万円、日当1万円見当。国内研修は、月額15万1千円の支給。1年の派遣で言えば、400万弱、2年で750万弱か。国内研修は151万円。今年度の予算を確認していないので、正確なことは判らないが、5億円ははるかに超えるものだろう。
今は、その必要性についての疑義や、補助金同様の謂われている「ばら撒き」施策だとの批判はしない。ただ、国民の税金で賄われている制度であれば、制度の利用者(直接的受益者)には、学を修め、腕を磨くことに励むことは当然だが、官費を遣っていることに対する自覚は持たせるべき。とすれば、この制度利用者にも、官吏同様の務めを求めても良いだろう。NOVAの「駅前留学」の影響か、若手官僚のように大学院への留学ではなく、劇場・ホールを見物し、現地のワークショップに参加した程度のことでも、「留学して来ました」、というこの制度だが、次はこの制度利用者の帰国後の活動を支援しようとの助成制度を作るのだろう。若い頃から、助成金で海外に出掛け、助成金で己の活動をしようという、補助・助成金漬けの人生を歩むことが日本では「芸術家」の姿なのか。「芸術家」が支援されてばかりの存在では、文化庁はどうあれ、一般社会の同意は得られない。この制度利用者は、既に二千人は超えている。舞台芸術に限っても、高名な舞台美術家や照明家、人気演出家や、若手狂言師など多彩。彼等に災害地で道路整備や住宅建設の手伝いは体力も能力もなく、芸術の専門家としての務めにもならない。自衛隊派遣地や国内の災害地で、長期に滞在して舞台上演などすれば良い。昔はこういうことを「慰問公演」と言ったのだろう。「芸術」の修業中の若者でも「芸術家」、物見遊山の洋行も「留学」のこの時代、「慰問公演」では古すぎるので、「comfort performance」とでも言うのか知らないが、横文字にしたら良い。
「研修制度利用者は、帰国後、自衛隊予備役に編入。研修期間と同期間のcomfort performanceを課す」くらいの一文が、この制度の募集要項に書かれる日が待ち遠しい。