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『銀ぶら』と『心の師』

五十年に及ぶ銀座通い、などと気取っているが、幼少の折は家族に連れられての散策などが主だから、一人ででも出掛けるようになったのは、この四十年ほどのこと。6月30日の『提言と諌言』にも書いたが、銀座通いと言っても、百貨店の地下で、贈答品を選ぶことがもっぱら。「銀ぶら」らしいことはあまりしていない。偶に、午前中に出掛けた折に時間があれば、昭和通り沿いの二軒の古書店を覗き、スワン・ベーカリーで、幾つかのパンを購う。
このスワンのことは、ブログでも何度か書いたことがあるし、個人的にも勧めることもあり、また開店以来の報道などで既にご存知の方も多いと思うが、障害者の雇用の場を作る目的で作られたパンのチェーン店。授産施設・障害者共同作業所で働く障害者の平均給与が一万円を切ることを知った福祉財団の理事長が、「保護ではなく、自立を支援するのがノーマライゼーション」と考え、実践したパン・チェーン。この店で働く障害者の月給は十万円を超えると言う。現役の企業経営者時代にこの経営者は、「業界保護」や「規制」にしがみつき、権力を笠に着る官僚組織と度々衝突、「官から民へ」という規制改革の流れに大きく貢献した。
偶に私が購う三つ四つのパン代では、店にとっては何のたしにもならないが、私がこの店を度々訪れる目的は、こんな経営者の精神に触れ、己が志と品格と良心を持って行動しているかを確認する為である。
「真心と思いやり」に努める敬虔なクリスチャンでもあり、義太夫や小唄を好む粋な大人でもあった彼は、この6月30日に亡くなった。
元ヤマト運輸会長の小倉昌男氏、享年八十。お目に掛かることは無かったが、我が心の師であった。