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『旧国鉄官僚』の責任の取り方について

12月25日(日曜日)の午後7時15分、JR東日本の羽越線の特急「いなほ14号」が山形県庄内町で脱線・転覆した事故では、乗客のうちの五名が亡くなり、三十名以上が負傷した。事故を伝える新聞のカラー写真は、白い雪と大破した車両が、寒さと悲惨さを感じさせる。寒さと恐怖の中で、亡くなっていった人たちの痛ましい死に、こちらの心まで文字通り凍る思いである。
8ヵ月前の4月25日(月曜日)、JR西日本の宝塚(福知山)線の事故を思い出していた最中、同社の会長、社長が来年2月1日付で退任することになった、とのニュースが入って来た。
百七名の死者を出したこの事故については、5月1日の『提言と諌言』<国鉄鶴見事故で亡くなった三枝博音>に書いたので、今一度お読み戴きたいが、補償交渉が捗っていないといわれる中、垣内社長が退任後も取締役に残り補償交渉を担当し、南谷会長は相談役のポストに収まる。また、この二人への退職慰労金の支給は当面見合わせる、というから、いずれは規定通り支給されるのだろう。
事故後の6月23日には、井出相談役、坂田・徳岡の両専務が引責辞任していたそうだが、私の関心は、事故現場となってしまったマンションがどうなったかにある。
インターネット上には、南谷会長、垣内社長や井出前会長を非難・攻撃するものが多いが、彼等の胸中は不明である。事故直後に職を辞することで責任を取る、という一般的な責任の取り方を選ばなかった会長、社長だけに、補償交渉が終局したのち、自らの死で責任を取る覚悟をしているのではないだろうか。国鉄のエリート官僚出身ながら、民営化・効率化の旗を振り、三万人の社員のトップに立った最高責任者としては、それも起こし得る行動かとも思えるが、もしそのつもりだとしてもその決行の前に、彼等や現役取締役・取締役経験者が報酬や退職慰労金などを捻出して、被害を受けたマンションを買い上げ、幹部社員用の社宅にし、一階玄関などに慰霊碑を建て、事故を教訓化する策を講じるなど、最後のリーダーシップを取ってからだと思うのだが、どんなものだろう。