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老練と若手のアンバランスな『演劇交流』

日本経済新聞の最終ページにある「文化往来」は、さすがに日本のホワイトカラー必読の経済総合新聞だけあって、他紙によく見かける催し物情報とは違い、短信に社会的な解説なり視点が盛られた、興味を惹かれることの多い囲み記事である。
1月10日の「文化往来」は、『文学座と青年団、人材育成の交流公演』とのタイトルで、≪「文学座+青年団自主企画・交流シリーズ」と銘打った連続上演をこの5月にスタートする≫ことについて書いている。
≪新劇界と小劇場界の有力劇団が手を結び、公演を重ねることで、主に若手の育成を目指す≫と記事にはある。
岸田國士、久保田万太郎、岩田豊雄の三人の作家が、築地小劇場出身の俳優である友田恭助と田村秋子の為に昭和12(1937)年に設立した、最古にして最大の新劇団である文学座と、国際基督教大学の学内学生劇団出身の、劇作・演出の平田オリザ氏が主宰する青年団との接点は、新宿区信濃町にある文学座の「アトリエ公演」で、1997年11月、『月がとっても蒼いから』という平田氏の書き下ろし戯曲を、同座の俳優・坂口芳貞氏が演出して上演したことからか。
≪互いにアトリエが近いことなどから企画が持ち上がった≫と記事にあるが、文学座は、信濃町のアトリエや隣接の小稽古場だけでは手狭になり、劇団所属の俳優や演出部スタッフの自主稽古や自主公演の場にと、数年前から板橋区小茂根に民間のスタジオを年間契約で借用しているが、目黒区駒場を拠点とする青年団も、同様に同所近くに小稽古場があること、あるいは坂口氏と平田氏が桜美林大学での同僚ということもあってか、この企画が進んだのかもしれない。
この交流シリーズに参加する演出家だが、文学座からは、劇団代表で、現代演劇界の最長老である戌井市郎氏、文学座アトリエ公演で別役実作品を多く手掛けた藤原新平氏など。青年団からは無名の演出部員とフランスの若手演出家など。90歳から25歳までの十数人の演出家を抱え、新国立劇場には芸術参与や演劇研修所の副所長を送り出し、東宝や松竹、芸能プロ製作の商業演劇まで進出する中堅の演出家が揃う老舗の文学座と、大学教授やテレビコメンテーター、公共団体等の審議会委員など八面六臂の活躍の43歳の主宰も含め全員が若手の範疇に入る新興の青年団。参加演出家の構成については、均衡の悪さが気になるが、当事者には然したる問題ではないのだろう。
「地域」や「公共性」など、猫も杓子も口にするこの時代であれば、この企画には地元の板橋区などから、「地域振興」「芸術支援」「芸術を活用しての街作り」などの名目で補助金が支出されたりするのだろうか。この「文化往来」には、そのあたりの言及はなかった。
また、平田氏の談話はコンパクトに取り上げられていたが、一方の文学座の側の談話がないことが気になった。
続報に期待する。