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クラシック音楽尽しとなった新春第二週

連休明けの10日(火)から一昨15日(日)までの6日間は、久しぶりに音楽、そして友人との食事を楽しんだ。
10日は、初台の東京オペラシティコンサートホール。「日本におけるロシア文化フェスティバル2006 in Japanオープニング・ガラ・コンサート」と銘打ったマリンスキー歌劇場管弦楽団の演奏会。カラヤン以来の魔術師ともいわれるワレリー・ゲルギエフの指揮。定刻の開演時間には、このフェスティバル実行委員会の委員長・森喜朗氏とロシア連邦の大統領府官房長官氏の挨拶があり、ゲルギエフの登場を心待ちにし高揚する会場に水を指す、観客には礼を失したセレモニーになった。
第1部は、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番第1楽章を上原彩子、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番を諏訪内晶子が協演。第2部、この日のメインはラフマニロフの交響曲第2番。第1部ではぎこちなさを感じるほどのオケだったが、これがゲルギエフの手兵といわれるマリンスキーかと納得させる演奏だった。客席は普段見受けられるクラシック音楽愛好者よりは、俳優座の栗原小巻さんなど、ロシア(旧ソビエト連邦)びいきか、ロシアに縁のありそうな人々が多く、客席もざわつき気味。休憩時のロビーも落ち着かないものだった。
12日は、赤坂・サントリーホール。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の主要メンバー9名によるウィーン・リング・アンサンブル演奏会。ライナー・キュッヒル率いるウィーン・ムジークフェライン弦楽四重奏団のメンバーに、コントラバス、フルート、ホルン、クラリネット(2名)の9人編成。モーツァルト・後宮からの逃走序曲、ヨハン・シュトラウスのポルカなど十数曲。先日のウィーン楽友協会でのニューイヤー・コンサートは、マリス・ヤンソンスの指揮だったそうだが、テレビを観ないので、キュッヒル氏を見るのは今年は初めて。相変わらずの見事な演奏だった。
休憩時、いつものように紅茶をロビーで喫したが、そこで四十歳前後のカップルと長椅子の狭いスペースを譲り合って座った。終演後、混雑するクロークで偶然に彼等と前後して並び、ご挨拶。「お気を付けてお帰りになってください」「きっと、またお目に掛かりますね」と言葉を交わし、別れた。一期一会、品も雰囲気もある夫妻とのつかの間の袖擦り合い、最も好きなサントリーホールでの一夜を、より心地よいものにした。
14日は、府中の森芸術劇場・ウィーンホールでのライナー・キュッヒル・リサイタル。ピアノは加藤洋之。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第40番やベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲6番など。私は府中は初めてだが、ここでのキュッヒル氏のリサイタルは12回目という。五百の客席は売り切れ、最後部には補助椅子も用意されるほどの盛況ぶり。
休憩時のロビーは、キュッヒル氏のサイン付きのCDが売り切れ、特設のウィーン物産品コーナーや飲み物の売店も大賑い。
アンコールにはクライスラーの小品を7曲。結果としては三部構成のようなリサイタルで、終演は9時35分過ぎ。冷たい雨の降る中の遠出だったが、品格と奥行きのあるヴァイオリンを堪能した。
15日は、千駄ヶ谷の津田ホールでの、公開講座=オペラ劇場運営の現在・ベルギー=。「オペラ・ハウスの芸術運営と創作過程-オペラ歌手によるワークショップとともに」と題した、昭和音楽大学オペラ研究所が主催する講座。この講座については、この『提言と諌言』の2005年8月15日<バイエルンの招待者は大統領ただ一人>で触れたが、今回はその13回目の公開講座。講師は、ベルギー王立モネ劇場の音楽監督を2002年から務める指揮者の大野和士氏。日本人のオペラ指揮者としては、かの小澤征爾氏を凌ぐ人気と実力といわれる大野氏だけあって、五百席の会場は満員で、舞台上にも補助椅子を並べるほど。キャパシティの二倍の聴講希望があったというから、この講座の浸透度も大したものである。
前半の1時間半は、大野氏の講演、後半の1時間はテノールの小山陽二郎(藤原歌劇団)、ソプラノの木下美穂子(二期会)両氏と大野氏によるワークショップ。ワークショップでは、「音と歌詞の分析の重要性」を大事にする大野氏のレッスン、歌手とのディスカッション風景を短時間だが覗くことが出来た。
前半の講演は、興味深いものであった。これについては、近いうちに書くつもりだ。
以上のそれぞれの費用は、10日のマリンスキーが1万5千円、12日のウィーン・リング8千円、14日のキュッヒルリサイタル4千円、15日の公開講座は無償。
私にとって満足度の高いものは、15日、14日、12日、10日と、費用負担の少ないものの順になった。