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「新国立劇場の開館十年」を考える(一)
≪「世界の三本指に入る」と豪語する天下り劇場理事長≫

 新国立劇場はこの10月、開館十周年を迎えた。
 11シーズン目に入った今期は、オペラ部門の芸術監督に指揮者の若杉弘氏、演劇部門の芸術監督に文学座演出部の鵜山仁氏が新任され、また、大劇場(オペラ劇場)には公募により、「オペラパレス」との愛称がつけられた。
 開館十周年という節目でもあり、一部の大手紙ではこの十年を評価検証する記事が書かれており、また、年末の各紙文化面に載る「回顧」記事でも、多少は触れられるだろう。
 今のところは、肝心の新国立劇場(正式名称は財団法人新国立劇場運営財団)、或いは上部団体たる独立行政法人日本芸術文化振興会、或いは監督官庁の文部科学省・文化庁が、この劇場の十年についての業績評価・検証をしているのかは公にされていず、実施しているのか不明である。
 新国立劇場は、凡そ毎年八十億円規模の予算で運営されており、その七割に当たる五十数億円は、日本芸術文化振興会からの新国立劇場事業費(受託業務費)などとして国費が投入されている。これに対して、公演事業収入は十六億円弱、協賛金・賛助金収入は七億円弱である。簡単に言えば、国税七割、公演収入二割、民間支援一割の比率であり、国民の税負担なしでは運営出来ない典型的な国立の文化施設の一つである。
 
 昨06年1月に発行された新国立劇場・情報誌『ジ・アトレ』の巻頭に載った遠山敦子理事長の「新しい年に向けて」と題した挨拶には、「わが新国立劇場は国際的にも大変評価されるようになりました。」「新国立劇場を訪れた芸術家たちからは、その専門的な観点からしても世界で三本の指に入る優れた劇場との言葉をいただいております。」との言葉があった。新国立劇場が世界の三本の指に入るとしたら、他の二つの歌劇場はどこなのか。世界中に歌劇場と呼ばれるものが何千あるか知らないが、オペラ愛好家でもない私でも、十や二十の世界の歌劇場の名を瞬時に挙げることが出来る。初のオペラハウスが誕生したばかりの、それもオペラ後進国である日本の劇場が、そんな著名な歌劇場を押しのけて、世界の三本の指に入るほどになったとは驚きである。が、そんな事は、遠来の訪問客の過剰なリップサービスであり、それを真に受けたとも思い難いが、国税を投入され、運営のことごとくを詳らかにして臨むべき国立の劇場の最高責任者である財団理事長の公式な発言としては、それも優秀なる高級官僚出身者の発言としては相応しくないものと思われる。
 この劇場の開場時に使われた宣伝コピーに、「世界中の注目を集め、いよいよ日本初のオぺラハウスがオープンします。」とあった。オペラハウスがない国に、初めてそれが出来ることで世界の注目が集まるとは思えず、このコピーの論理矛盾した表現に笑ってしまったが、さすがは文部科学大臣も務めたほどのエリート官僚、「世界中の注目を集め、日本初のオぺラハウスがオープン」したからには、開場八年で、世界の三本指の歌劇場になっていて何の不思議もない、とでも思われたのであろうか。