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「新国立劇場の開館十年」を考える(十二)
≪劇場のトップマネジメントは及第か(下)≫

専念しない、専門家でない天下りを劇場トップにする、世界で稀れな歌劇場  

  財団法人 松下教育研究財団    理事長
  財団法人 トヨタ財団          理事長
  財団法人 博報児童教育振興会  理事
  財団法人 日本いけばな芸術協会 会長

  社団法人 全国少年補導員協会  会長
  社団法人 学術・文化・産業ネットワーク多摩 名誉会長

  非営利活動法人 富士山を世界遺産にする国民会議 副理事長

  文化庁文化審議会委員 同文化功労者選考分科会委員
  
  数学教育学会           名誉顧問
  
  株式会社NHKエンタープライズ 取締役
  
  早寝早起き朝ごはん全国協議会 副会長
  全日本社会貢献団体機構 会長

 上記は、ひとりの文部(科学)省天下り官僚の肩書である。他にも公益法人あるいは営利法人の役員を幾つも務めているだろう。
 この人物こそ誰あろう、財団法人新国立劇場運営財団の理事長である遠山敦子氏その人である。

 新国立劇場の理事長職は常勤であろう。民間企業であれ、中央官庁の外郭団体であれ、天下り官僚がそこに職を得た場合に当然のように受ける待遇として、遠山氏も、部屋付き、秘書付き、車付きの厚遇を受け、(情報公開していないので、推定だが)年収二千五百万円前後の高禄を食んでいるのだろうか。そうであれば、理事長廻りの総経費は億に近いものになるだろう。このような待遇の常勤理事長だとしたら、非常勤とはいえ、他の公益法人等の役職を務めたりはしないものだと思うのだが、さすがは文化庁長官、文部科学大臣まで務めた人物だけに、教育や芸術文化に貢献したいとの高い志しがそうさせるのかもしれない。劇場経営者として当然持っていなければいけない劇場勤務の経験も、オペラ、演劇、舞踊の専門性を全く持たない中で、それこそ手探りで劇場の最高責任者として陣頭指揮を執っているのであれば、大半が文部科学省高官経験者などが引き受ける名誉職とはいえ、就任要請を一切断り、新国立劇場理事長職に専念すべきだったのではないか。
 新国立劇場と上記の団体との関わり、利害関係についてはまだ調べていない。松下、トヨタ、博報堂の作った財団は、すべて助成型財団であり、便宜供与、口利きなどの典型的な天下り官僚への期待を前提にしたポスト提供ではないのではとは思う。しかし他の法人などでは、新国立劇場、或いは理事長職との関連で適正を欠くものがあるかどうか、じっくり調べて書くつもりだ。遠山氏の任期は今年3月31日までである。3月中旬に開かれるであろう年度末の理事会では、遠山氏の続投、或いは後任の理事長が決まるだろう。それまでの残り一か月、この「新国立劇場の十年」を考えて書いていくつもりだ。続けてのご笑読をお願いする。