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「新国立劇場の開館十年」を考える(二十一)
≪巨額な国費が投入されながら、理事長・芸術監督が専念しない不思議な劇場(八)≫

「演劇部門の芸術監督交代 「1期限りで代える必要あるのか」の声」 毎日新聞7月8日夕刊
 今回の新国立劇場の芸術監督交代の発表は、どうやら騒動、交代劇と呼ぶに相応しい事態を招いているようである。既にこのブログ『提言と諫言』<「新国立劇場の開館十年」を考える>でも紹介しているように、一日の読売新聞の『解説記事』、七日の朝日新聞の『社説』に続き、昨八日には毎日新聞夕刊に、『Crossroads』「新国立劇場」という記者署名入りの六段記事が載った。この記事は、毎日新聞のサイト『毎日jp』でも読むことが出来る。ここでは簡単に紹介するに止める。
 「現在の芸術監督はオペラが若杉弘氏(73)▽舞踊が牧阿佐美氏(73)▽演劇が鵜山仁氏(55)。若杉氏と牧氏は高齢で、後任選びを急ぐことに異論はない。だが、鵜山氏はまだ若く、昨年9月に就任したばかり。交代は唐突で早すぎる感じがする。」とある。
「今回の人事案は、次期芸術監督の選考委員会の結論として」理事会に提案されたものだそうだが、「選考委員会の経過も一部明らかになった」として、「欠席した委員が電話で「鵜山留任」と自分の意見を伝えたところ、選考委の主査の同財団常務理事が、「それはない」と言ったため、この委員は宮田氏の名前を挙げたという。」との選考委員から取材した話を書いている。また、遠山理事長が鵜山氏を再任しない理由として、「あまりに忙しく、制作現場とうまくコミュニケーションを取れていなかった。現場の意見、観客の反応、いずれにしても鵜山さんにもう一度お願いすることは難しかった」と語った30日の記者発表での発言内容を他紙の記事よりも詳述している。
 読売の記事でもコメントが載った永井愛氏がここにも登場する。永井氏は、「選考のプロセスが強引で不透明すぎる。芸術監督が芸術的なリスクをおかさないように管理を強化している」と、劇場の姿勢を批判している。また、当事者である鵜山氏は、「再演などで増えた外部演出の本数を大幅に減らすところでした。財団理事会の決定には従います」と語ったそうである。
 止めの文はこうだ。「東京・シアターコクーンと埼玉県芸術文化振興財団の芸術監督を兼務する蜷川幸雄氏は厳しく批判する。「1年もしないうちに次の芸術監督を発表することは、現職の否定につながる。」「国立の舞台は、芸術的成果こそ問われるのであって、興行面であれこれ言われる筋合いはない。鵜山君を任命した遠山理事長が、自身の責任を含め、ちゃんと説明してほしい」。
 この『Crossroads』、「今回の人事が演劇界にしこりを残すことも予想さ」せるとした1日の読売『解説』記事や、「(開かれた場での議論を深めるという、)その姿勢を捨てるなら、劇場は劇場でなくなる」とした7日の朝日『社説』に比べ、一段と厳しい論調であった。