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「新国立劇場の開館十年」を考える(二十二)
≪巨額な国費が投入されながら、理事長・芸術監督が専念しない不思議な劇場(九)≫

<新国立劇場 次期芸術監督の人事迷走 尾高氏「納得できねば辞退も」> 朝日新聞7月9日朝刊
 「劇場から大きなきしみが聞こえてくる」、「(議論を大事にする)姿勢を捨てるなら、劇場は劇場でなくなる」と、芸術監督の交代についての新国立劇場・遠山敦子理事長の対応を、その新聞の主張を明らかにするべく、論説委員が執筆する社説で早々と取り上げた朝日新聞だが、今度は9日朝刊の文化面で、演劇担当、音楽担当の二人の記者連名による記事を掲載した。今回も要旨だけを紹介する。
 リードの一行目には、「選任をめぐって迷走している。」とあり、「3部門の監督を10年秋に一斉に代えると発表、「一大イベント」とうたって清新さを強調したが、関係者から異論が続出。名前の挙がった予定者からは「辞退もありうる」との声まで出た。芸術監督のありかたが改めて問われている。」とある。私は、問われているのは「芸術監督のありかた」ばかりではなく、社説が敢えて言葉にせずに説いているように、遠山理事長の運営手法の危うさだと思うが、このことについては次回に譲ろう。
 「「え、僕に決まったの?」オペラ部門の芸術監督予定者として発表された指揮者尾高忠明さんは、新聞記事を読んで驚いた」とあり、「1年の半分は海外にいるし、札幌交響楽団の音楽監督や芸大での教職の仕事もやめるつもりはない」と一度は断ったそうだが、「現状の仕事は続けていい」と財団に説得され、了承。ただ、具体的な仕事の内容については詰めておらず、「事実上の見切り発表に。霜鳥秋則常務理事は「これから細かいところを話していけばいいと思っていた」。しかし尾高さんは「それは発表の前に文書化しておくべきこと。劇場が僕に何を求めているのか、僕の人脈やキャリアで何ができるのか
、会見の場でも説明するべきだったのでは」と不信感を募らせる。」とある。尾高氏は、自分の演奏実績なども「きちんと理事会で議論された」か疑問としたが、「複数の理事によると、今回の理事会でそうした議論はなかったという」。「今後、納得のいく書面を出してもらえなければ、辞退の可能性もある」との尾高氏のコメントを載せている。
 演劇部門の鵜山退任について、その疑問が相次いでいる理由を、「財団側が3月に退任の方針を固め、選考委員兼理事で演劇評論家の小田島雄志さんらが提起した鵜山再任案が十分議論されないまま、演出家の宮田慶子さんの選任を決めたため」としている。また、「次期芸術監督は作品準備のため、就任の約2年前に決まる。1期で退任する場合、1年もたたないうちに評価されることになる」とし、「芸術家の使い捨ては困る」との、沢田祐二氏(舞台照明家・財団理事)の発言も載せている。
 また、鵜山氏の再任しない理由に、劇場外の仕事が多忙で、現場のコミュニケーションが難しいことを挙げた劇場側が、「尾高さんに対しては外部の仕事の継続を認めている」とし、英国のバレエ団の芸術監督との兼任となる舞踊のデビッド・ビントレー氏についても、「日本に滞在する日数などの具体的な取り決めはまだされていない」と書いている。
 最後には、芸術監督の3年の任期について、「短すぎるし、監督にたいしても失礼。延ばす方向で検討したい」との、遠山理事長の話を載せている。
 これで、読売、毎日、朝日の取材記事が揃った。今回も記事の紹介に止める。