長野市芸術館
ステージ見づらい 2階の80~90席
市、設計者に対応依頼 来年開館予定/長野
来年5月に開館予定の長野市芸術館で、既に仕上がった大ホール2階の80〜90席が、ステージが見えづらい構造となっていることが、市への取材で分かった。設計段階で床の傾斜を緩くしたのが原因で、市は「改修の必要性も含め、見えづらい席を減らせるよう設計者に対応を依頼した」と説明。開館に遅れは生じないという。
市第1庁舎・市芸術館建設事務局によると、大ホールの座席数は1階916席、2階376席の計1292席。ステージが見えづらくなっているのは左右の壁際にあるそれぞれ40〜45席。2〜7列目にあり、ステージからの高さは約6・9〜8・5メートル、距離は約26メートル。これらの席からは、2階席最前列の腰壁が邪魔になり、幅約18メートルのステージの半分以上が見えないという。
市芸術館は11月30日に建物本体の工事が終わり、今月4日に市が施工者から引き渡しを受けた。8日に職員が確認したところ、見えづらい席があることが分かった。
設計を担当したのは東京都や長野県の会社などで組む共同設計体。既存の施設を参考に設計したが、モデルとなった施設では2階席の傾斜が26・2度と急で、転んでけがをした人もいた。このため、同館は20・7度に設定し、見えづらい座席が生じた。事務局は「設計段階から見えづらい席が出てくる場合があるとは認識していたが、数は分からなかった。なるべく少なくするため、設計者に対応を依頼した」としている。対策として、座席の位置を高くすることなどが考えられるという。
11日は長野市議対象の内覧会があった。小泉一真市議は「ステージの半分以上が見えない席もあった。責任がどこにあるのか明確にする必要がある」と話した。